出版社内容情報
飯田 隆[イイダ タカシ]
著・文・その他
内容説明
フレーゲとラッセルに始まる現代の言語哲学、そのエッセンスを分りやすく集約する。
目次
第1章 フレーゲと量化理論(ひとつの問題;文の論理形式;フレーゲは言語哲学者か?;ArgumentとFunction;文法的カテゴリー)
第2章 フレーゲ的意味論の基礎(意味と像;文脈原理と合成原理;意義SinnとイミBedeutung;陰影と力;フレーゲ的意味論の構造)
第3章 ラッセルと記述の理論(前史 『数学の原理』の意味論;革命 「表示について」〔1905〕;余波 論理的固有名を求めて;残響 単称命題の意味論)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
13
ラッセルとフレーゲの哲学の入門解説に留まらず、その問題点を抉り出し可能な限りの改良を試みて、その上でその理論の限界と可能性を指し示す、大全という気負ったタイトルに一切負けない大力作。言葉の意味とは何なのか、それは実在をどう捉え関わるのか、という点から、述語論理学と量化理論をまとめあげ、意味の中に意図や真理条件としての意義と、指示されるものとしてのイミがあると説いたフレーゲ、似たような量化理論にたどり着きながら、言語の確定記述への翻訳可能性に着目したラッセルの思想を対比している2013/08/15
Bevel
6
「言語は客観的である」という公理を最初に立てて、思い浮かぶイメージで意味論を規定する試みを拒絶したフレーゲと、そのような意味論を追い求めて挫折したラッセルを見る、というのがまとめ。ならば彼らは何に注目して意味論を作るかというと、飯田さんはなんだかんだあるけれど、結局のところ真理条件に帰着させていると思う。文献案内の問題の答えはどちらも「真理条件的意味論を取るので指示は問題になってないから」だと思う。2013/08/11
Amano Ryota
5
今の僕には難しい本のようだ。上手く引用が出来ない。言語哲学とか、論理学とか、分析哲学とか、色々と呼ばれているけど、フレーゲ、ラッセル、ウィトゲンシュタインと続くこの流れには、きっと大切なことがある。それが何か分からないのは歯がゆいけれど。言葉を厳密に考えることではなく、言葉が前提としている枠組みそのものを言葉で考える行為に対する、理由のない単純な憧れがあるのかもしれない。しかし、言葉の前提なんて気にしなくても、普通の意志疎通に不便はないのに、なぜ気になるのだろうか。少し視野を広げた方がいいのかもしれない。2017/06/02
coaf
4
フレーゲとラッセル。よくまとまっている。入門書ではあるが、レベルはそこまで低くない。2013/10/16
LM
2
【読書会】現代論理学の開祖ともいえるフレーゲとラッセルについて、言語哲学の観点から解説されている。両者は実在論的意味論をとる点では共通しているが、その意味と世界の対応のあり方は異なっている。フレーゲはBedeutung(イミ)とSInn(意義)という区別を導入して、単称名のBedeutungを指示対象とすることで意味と世界を結びつけた。これに対しラッセルは、意味の指示説という素朴な実在論的意味論をとった。意味の指示説、より一般には実在論的意味論がしぶといことがわかってよかった。2021/09/08