出版社内容情報
哲学の立場から自殺を論じたものはそれほど多くない。心理学や社会学の成果を吟味しながら,自殺という生きられた現象をトータルに解明する。
目次
第1章 自殺とはなにか
1 自殺を意味する語
2 自殺の定義
3 死と自殺
4 自由と投企―哲学的自殺
5 人間は死にたがるか
6 「死の本能」は存在するか
7 自殺の重層的構造
8 自殺の意味論的誤謬
9 自殺は存在するか
第2章 人間はなぜ自殺するか
Ⅰ 自殺の条件
1 意識の構造
2 意識・自我・身体
3 自然的態度と反省的態度
4 反省的態度と時間
5 反省的態度と自由
6 反省的態度と自殺
Ⅱ 自殺の要因
1 客観的原因と主観的動機
2 社会―文化的原因
3 生理―生物学的原因
4 社会学的説明の難点
5 主観的動機
6 無意識的動機
7 原因と動機の相関関係
Ⅲ 自殺の形而上学的目的
1 自殺への実存的接近
2 <永遠>への憧憬
3 青年の字自殺と<永遠>
4 死のロマンティシズム
5 愛と死
6 『心中天網島』
7 いのちが美しい歯で死を噛みしだく
8 <永遠>の甘美な誘い
9 死の跳躍
10 まとめ
第3章 子供の自殺と現代の状況
1 子供の自殺
2 神田理沙のばあい
3 祖母殺し高校生自殺事件のばあい
4 現代の亡霊
5 社会―文化的原因
第5章 自殺に勇気がいるか
1 死をこわがらないことが勇気か
2 勇気とはなにか
3 死ぬ勇気と生きる勇気
4 結論
参考文献