出版社内容情報
植民地期末期から直後の朝鮮、台湾の人々の出会い=接触を記録・文学を通して分析、他者化と比較が生じない出会いの可能性を探る。
被植民者同士は植民地的尺度に基づいた比較なしに出会えるか。脱植民地性と他者性は共存できるか。日本帝国植民地末期から終戦直後にかけて朝鮮、台湾、日本において書かれた記録文学、座談会、ビラや新聞記事、風聞などを分析し、暴力と支配のなかで不可能ながら存在した被植民者たちの共鳴と連帯、抵抗の身振りを拾い上げる。
内容説明
他者はほかの他者と比較なしに出会えるか。脱植民地性と他者性は共存できるか。日本帝国植民地末期から解放直後における朝鮮、台湾の人々の出会い=接触を、記録・文学を通して分析し、暴力と支配のなかで不/可能ながら存在した被植民者たちの共鳴と連帯、抵抗の身振りを拾い上げる。
目次
序章 植民地化された接触と位階化された比較を超えて
第1章 対話的テクストにおける被植民者同士の「比較」と「共感」
第2章 植民地博覧会における被植民者の中/間の「複数の地方化」と時間性
第3章 聞こえてきた「解放・独立」「コーフク」と継続する「脱植民地化」
第4章 「街の政治(ソウルと台北)」と「風聞的ルポルタージュ」―金南天と龍瑛宗の自伝的小説・随筆
第5章 移住・帰郷の不/可能性と「国内難民」の抵抗的浮遊性―安懐南の自伝的小説と上野英信の「あひるのうた」
終章 「比較」から遠く
著者等紹介
申知瑛[シンジヨン]
延世大学比較文学協同課程教員。朝鮮の近現代文学。1945年前後の東アジアにおける流民・難民の記録文学。現代の難民・障害・動物をめぐる活動に関心を持ち、これを東アジアの歴史におけるマイノリティーの経験へと繋ぐ研究を試みている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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