出版社内容情報
「死の定義」の核心、Integrity〈有機的統合性〉とは何か。脳死を肯定する論理の核心となる概念の出自と歴史的変遷を追う。
脳死を人の死とすることをはじめて科学的に“論理化”した米国大統領委員会報告「死の定義」で論理の主軸をなす〈有機的統合性〉。この概念を13世紀のトマス・アクィナスから説き起こし、神学から数学、心理学、生理学、精神医学等でさまざまな意味を担い、最終的に脳死を肯定する言葉としてどう機能するに至ったかを追った労作。
目次
序論 本書は何を問うのか
第1章 科学史と生命倫理学の交差
第2章 IntegrityとIntegrationの原義と変容―13世紀キリスト教神学から17世紀微積分学まで
第3章 心・身体・脳をめぐるIntegration―19世紀心理学から20世紀神経生理学まで
第4章 生命現象をめぐるIntegrityとIntegration―19世紀生理学から20世紀生理学まで
第5章 生と死をめぐるIntegrityとIntegration―20世紀初頭の神学から20世紀後半の生命倫理学まで
終論 死の定義と“有機的統合性”
著者等紹介
小宮山陽子[コミヤマヨウコ]
1970年生。看護師を経て、2019年東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科応用環境システム学専攻修了、博士号取得。現在、東京女子医科大学専任講師(基礎看護学)。主要論文「内部環境概念からホメオスタシス概念への展開―ベルナール、ホールデン、ヘンダーソン、そしてキャノン」『生物学史研究』(90号、2014年、旧姓・天野陽子で執筆)第10回日本科学史学会論文賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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