出版社内容情報
2000年以降の英米哲学において、最も重要な研究動向である実験哲学。代表的な研究を紹介し、その意義と可能性を明らかにする。
主に質問紙調査などによって、哲学の問題に関する人々の直観を明らかにする実験哲学。経験的手法による既存の哲学理論の検証や、哲学的な問題を考える際の心のメカニズムの解明、従来の哲学研究の方法論そのものの問い直しなど、多様な方向性を持つ。認識論、言語哲学など各分野の代表的な研究を紹介し、課題と可能性を展望する。
内容説明
質問紙調査などの手法によって、哲学の問題に関する人々の直観を明らかにする実験哲学。2000年以降の最も重要な研究動向であるこの分野について、代表的な研究を紹介し、その意義と可能性を明らかにする。
目次
第1章 実験哲学とは何か
第2章 知識の実験哲学
第3章 言語の実験哲学
第4章 自由意志の実験哲学
第5章 行為の実験哲学
第6章 道徳の実験哲学1―規範倫理学
第7章 道徳の実験哲学2―メタ倫理学
第8章 社会心理学から見た実験哲学
第9章 成果と展望
著者等紹介
鈴木貴之[スズキタカユキ]
1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Bevel
6
実験哲学のモチベーションには俗に思考実験と呼ばれる「事例の方法」についての疑念がある。読んだ感想としては、分析哲学の当たり前をひっくり返す「否定的プログラム」にはさほど重要性を感じなくて、認知科学を経由した「肯定的プログラム」が面白そうという感じ(編者よりも太田や唐沢に近いのかも)。普遍的な知識の事例を示すマシェリーの研究、行為の効果が道徳的に悪い場合と良い場合で行為者が意図的かどうかの判断が変化する「ノーブ効果」などなど、心理学との境界にある面白い論文について知れるのよかった。メタ哲学の話気になる。2022/06/11
mtht
4
読了。2000年代から始まった分析哲学の潮流の一つである実験哲学入門関する入門書。「知識」「言語」「自由意志」「道徳」といった哲学のよくあるテーマに対して、質問紙調査をはじめとする実験を行い、それらの結果を精査して哲学の内容それ自体に新しい知見を追加したり(肯定的プログラム)、方法論それ自体を批判する(否定的プログラム)という分野。あとがきにもある通り、発展途上という印象が強いが、個人的にはむしろこういった方法を用いて哲学の過去の議論を検討するのは新鮮な営みのように思えて、面白いと思った。2025/11/04
おちこち
4
ここ最近耳にすることが増えた実験哲学に関するまとまった入門書。質問票やMRIを使うことで従来の直観を使用した方法に対して疑問を付したり、哲学の問題に対して一定の解答を求めたりするのが面白い。まだまだ発展途上の分野であるため、実験哲学の手法や目的に関して課題が多いものの、新しい知見を得られることを期待する。2020/07/21
Akiro OUED
3
トロリー問題歩道橋版改:歩道橋には僕と彼がいて、互いに相手を線路に落とせるスイッチを持っている。暴走トロリーの先には5千人の子供がいる。どうする。相手を線路に突き落とせ。人類を絶滅するに十分な核兵器を保有する相互確証破壊状態はゲーム理論の問題だけど実験哲学はどう出る?好著。2021/09/12
buuupuuu
3
仮想的な状況において、ある概念が適用できるかどうかを「直観により」判断する「事例の方法」が、哲学においてしばしば用いられている。この判断は哲学者がある意味独断的に行っていたのだが、そうする代わりに心理学等で用いられる統計的手法等を用いて、人々がどう判断するか経験的に確かめてみようというのが狭義の実験哲学である。面白いと思ったのは、話が、人々の直観的判断から、それに影響を与える様々な要因や、判断の背後に想定される認知プロセス等へと拡がって行くところだ。直観の身分の解明が哲学理論にどう回収されていくのか。2020/09/22




