知覚経験の生態学―哲学へのエコロジカル・アプローチ

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知覚経験の生態学―哲学へのエコロジカル・アプローチ

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  • サイズ A5判/ページ数 409,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326102594
  • NDC分類 141.27
  • Cコード C3010

出版社内容情報

ギブソンのエコロジカル・アプローチが哲学にもたらす革新とは何か? 認識と行為をめぐる哲学的問題に新しい視点から解答を示す。ギブソンの生態学的知覚論の革命性は、知覚経験を考える上で主体内部の機構ではなく環境の役割を何よりも重視するという劇的な転回を行ったことにある。本書ではエコロジカル・アプローチが認識と行為をめぐる哲学的問題に対して持つ革命的な意義を明らかにし、哲学を方法的独我論の軛から解放して認識を新しく捉えなおす視点を提示する。

序章 エコロジカル・アプローチの革命性

 1 ギブソンの生涯

 2 ギブソンのアイディア――周囲・外部への転回

 3 エコロジカルターンの哲学的意義――「方法論的独我論」への疑義

 4 本書の構成



? 知覚経験の生態学――生態学的知覚論の立場



第一章 環境存在論

 1 環境存在の基本性格――持続と変化

 2 環境存在の基本構造――入れ子

 3 環境存在の基本単位――メディウム、サブスタンス、表面

 4 物理的世界か生活世界か



第二章 情報存在論

 1 生態光学

 2 光学的情報性

 3 生態光学の革新性



第三章 直接知覚説

 1 生態光学の認識論上の意義と知覚認識の新たな定義

 2 自己知覚――外部特定的情報と自己特定的情報

 3 自己知覚と自己運動制御

 4 アフォーダンス――環境の自己相対的高次性質



? 存在問題



第四章 神の視点批判への応答

 1 エコロジカル・アプローチは振り子を振りすぎているのか

 2 環境はエナクトされるのだろうか

 3 環境「構成」の本来の意味と意義



第五章 アフォーダンスのリアリティ

 1 アフォーダンス解釈の諸相――関係解釈、傾向性解釈、資源解釈、保守派

 2 相対性(関係性)と独立性の矛盾

 3 関係解釈と傾向性解釈の問題点――アフォーダンスは存在的にも独立的である

 4 アフォーダンスの資源解釈

 5 資源解釈への批判と応答

 6 郵便ポストのアフォーダンス

 7 文化・制度・規範の存在



第六章 環境の改変・構造化とそのリバウンド効果

 1 計算の一部は頭の外で行われる

 2 認知活動における道具の役割

 3 環境操作としての認知活動――認識的行為

 4 改変され構造化された環境

 5 環境を構造化する道具としての言語――問題変換の集団的達成

 6 記号的環境資源による行動調整とコミュニケーションの意味

 7 環境と主体



? 認識問題



第七章 表象問題――知覚経験に表象は必要か

 1 表象ハングリー問題とは

 2 表象ハングリー問題からエコロジカル情報ハングリー問題への転換

 3 エコロジカル情報ハングリー問題の具体例と予想される解答

 4 機能的な知覚システム

 5 エコロジカル・アプローチの反表象主義の二つの根拠――情報存在論と機能的知覚システム論

 6 エコロジカル・アプローチの心的意味論と行為的意味論

 7 知覚システムと行為システムの機能特定性

 8 表象をハングリーにしたい本当の理由、人間の主体性



第八章 知覚錯誤問題

 1 知覚錯誤論法

 2 知覚錯誤解消論法

 3 知覚達成のための判定基準と必要タスク

 4 知覚錯誤を経験的にも解消する

 5 ギブソンによる知覚錯誤の事例

 6 知覚の達成基準と必要タスクの変換が意味すること――知覚は完了しない

 7 知覚の倫理学へ向けて



第九章 知覚的正当化問題

 1 知覚的正当化という問題の難しさ――ヤヌスの顔としての知覚経験

 2 ウィリアム・ジェイムズの概念論

 3 知るとはどういうことか――概念的な経験的知識の正当化

 4 エコロジカルな認識論――情報ピックアップと行為を調整する活動としての認識論

 5 社会化するプロセスとしての認識論とその課題

 6 経験の民主化



結語――知覚経験を取り囲む環境問題





あとがき

文献一覧

事項索引

人名索引

染谷 昌義[ソメヤ マサヨシ]
染谷 昌義(そめや まさよし)
1970年埼玉県に生まれる. 2003年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学. 博士(学術, 2006年). 現在, 高千穂大学人間科学部准教授. 著書:『知の生態学的転回第1巻 身体』(共著, 東京大学出版会, 2013年), 『脳神経倫理学の展望』(共著, 勁草書房, 2008年), 『環境のオントロジー』(編著, 春秋社, 2008年), 『ディスポジション 配置としての世界』(共著, 現代企画室, 2008年), 『岩波講座哲学05 心/脳の哲学』(共著, 岩波書店, 2008年), 『シリーズヒトの科学4 包まれるヒト』(共著, 岩波書店, 2007年)ほか. 訳書:ドレイファス&テイラー『実在論を立て直す』(共訳, 法政大学出版局, 2016年)ほか.

内容説明

エコロジカル・アプローチの真髄は、知覚経験を考える上で、主体内部の機構ではなく環境の役割を何よりも重視するという劇的な転回を行ったことにある。この転回の哲学的意義を明らかにし、方法論的独我論の軛から解放された新しい哲学へと舵を切る鮮烈かつ勇壮な思索の軌跡。

目次

エコロジカル・アプローチの革命性
1 知覚経験の生態学―生態学的知覚論の立場(環境存在論;情報存在論;直接知覚説)
2 存在問題(神の視点批判への応答;アフォーダンスのリアリティ;環境の改変・構造化とそのリバウンド効果)
3 認識問題(表象問題―知覚経験に表象は必要か;知覚錯誤問題;知覚的正当化問題)
結語―知覚経験を取り囲む環境問題

著者等紹介

染谷昌義[ソメヤマサヨシ]
1970年埼玉県に生まれる。2003年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。博士(学術、2006年)。現在、高千穂大学人間科学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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うさを

0
久々に400頁超えの本読んだわ。ジェームズ・ギブソンの生態心理学の哲学的含意を、主にギブソンに寄り添い、たまにエドワード・リードとウィリアム・ジェイムズを参照しながら詳説している。ギブソンにとどまらず、ギブソンからの展開も試みているが、それが成功しているかどうか、僕にはわからない。とはいえ、その部分も含め面白かった。2021/06/21

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