出版社内容情報
クーンによるパラダイム論の提唱から50年を経た今、その意義と限界を見極めつつ、パラダイム論を超える新しい基礎理論を提案する。本書はまず第?部でクーンのパラダイム論とそれ以降の科学哲学を紹介し、その問題点を指摘する。第?部では本書が提案する「科学技術進化論」の構想を示す。適切な条件のもとでは科学と技術が互いに関係し合いながら共進化することを主張する。第?部では科学史からの事例をもとにこの理論を検証。科学活動の全体像を描き出すことを試みる。
まえがき
? パラダイム論の位置づけ
第1章 クーンのパラダイム論
1 パラダイム論の図式
2 パラダイム論の特性
3 クーン自身によるパラダイム論再考
4 パラダイム論の限界
第2章 クーン以降の科学哲学
1 科学的研究プログラムの方法論─ラカトシュの提案
2 科学研究における進歩─ラウダンの視点
3 新アプローチの批判的検討
第3章 科学哲学と進化論的視点
1 反実在論と進化論的視点
2 晩年のクーンの思想
3 科学活動と進化論
? 科学技術進化論の構築
第4章 全体論と科学者集団の共有信念
1 クワインの全体論
2 分析性概念の分析
3 パラダイム論の方へ
第5章 信念構造を用いた全体論の再定式化
1 全体論と信念構造
2 理論構造を用いた科学活動の記述
3 理論構造と研究プログラム
第6章 科学技術進化論(1)基礎理論
1 進化論とは何か
2 共進化とニッチ構築
3 科学技術進化論の基礎理論
4 数学的体系と理論構造
第7章 科学技術進化論(2)選択の基準
1 理論構造の評価基準
2 適応度の基準に求められるもの
3 科学技術進化論を用いたパラダイム論の描写
4 権威と認識的価値
第8章 人工物の進化論
1 人工物の進化の単位
2 人工物の進化プロセス
3 人工物の機能
4 人工物の進化と科学活動
第9章 科学技術進化論に基づく認識論
1 認識論の歴史
2 認識論再考
3 知覚と経験
4 科学技術進化論に基づく認識論
? 科学史からの諸事例
第10章 古代ギリシャ哲学の伝統
1 プラトン哲学と数学的秩序
2 アリストテレス哲学の枠組み
3 アリストテレスの自然哲学
第11章 コペルニクスからニュートンへ
1 コペルニクスの太陽中心説
2 ガリレオの役割
3 コペルニクス以降、ニュートン以前
4 ニュートン力学の確立へ
第12章 化学革命
1 化学革命とクーンによる事例描写
2 フロギストン化学の誕生と発展
3 ラヴォアジェの化学革命
4 化学革命の進展
第13章 20世紀の科学活動からの事例
1 相対性理論の登場
2 量子論の登場
3 化学と物理
4 生物学と化学
第14章 科学技術進化論とは何か
1 科学技術進化論のまとめ
2 科学技術進化論が明らかにするもの
3 科学技術進化論と多元的言語論
4 科学技術進化論と集団的活動
文献一覧
あとがき
人名索引
事項索引
中山 康雄[ナカヤマ ヤスオ]
中山 康雄(なかやま やすお)
1952年静岡県に生まれる。1975年京都大学理学部卒。1987年ベルリン自由大学哲学部哲学博士(Dr. phil.)の学位取得。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授。
著書:『示される自己』(春秋社、2012年)、『規範とゲーム』(勁草書房、2011年)、『現代唯名論の構築』(春秋社、2009年)、『科学哲学入門』(勁草書房、2008年)、『言葉と心』(勁草書房、2007年)、『共同性の現代哲学』(勁草書房、2004年)、『時間論の構築』(勁草書房、 2003年)ほか
内容説明
科学と技術は共進化する。クーンによるパラダイム論の提唱から50年を経た今、その意義と限界を見極めつつ、科学活動の全体像を捉えうる新しい基礎理論を提案する。著者の研究の集大成をなす画期的論考!
目次
1 パラダイム論の位置づけ(クーンのパラダイム論;クーン以降の科学哲学;科学哲学と進化論的視点)
2 科学技術進化論の構築(全体論と科学者集団の共有信念;信念構造を用いた全体論の再定式化;科学技術進化論(1)基礎理論
科学技術進化論(2)選択の基準
人工物の進化論
科学技術進化論に基づく認識論)
3 科学史からの諸事例(古代ギリシャ哲学の伝統;コペルニクスからニュートンへ;化学革命;20世紀の科学活動からの事例;科学技術進化論とは何か)
著者等紹介
中山康雄[ナカヤマヤスオ]
1952年静岡県に生まれる。1975年京都大学理学部卒。1987年ベルリン自由大学哲学部哲学博士(Dr.phil.)の学位取得。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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