合理性と自由〈下〉

セン，アマルティア【著】〈Ｓｅｎ，Ａｍａｒｔｙａ〉/若松 良樹/須賀 晃一/後藤 玲子【監訳】

勁草書房（2014/12発売）

• サイズ A5判／ページ数 376p／高さ 22cm
• 商品コード 9784326102402
• NDC分類 331.74
• Cコード C3010

内容説明

社会科学と哲学の根本に切り込む。なぜ自由が重要なのか？ノーベル賞受賞のセンが、決められた基準や権威に従って「合理的」に選択してもそれは全く「不自由」であることを示す珠玉の論集。自由の機会的側面とプロセス的側面を切り開いた「アロー記念講演」も収録。

目次

第４部　自由と社会的選択（自由と社会的選択；最小限の自由；権利：定式化と帰結）
第５部　視点と政策（位置相関的客観性；進歩に関するダーウィン的見解；市場と自由；環境評価と社会的選択；費用便益分析）
第６部　自由と社会的選択：アロー記念講演（機会と自由；プロセス、自由、権利；自由と機会の評価）

著者等紹介

セン，アマルティア［セン，アマルティア］ ［Ｓｅｎ，Ａｍａｒｔｙａ］
１９３３年インド・ベンガル地方生まれ。５９年にケンブリッジ大学でＰｈ．Ｄ．（経済学）を取得。１９９８年ノーベル経済学賞を受賞。デリー大学教授、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授、オックスフォード大学教授などを経て、ハーヴァード大学教授（経済学・哲学）

若松良樹［ワカマツヨシキ］
京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。同大学院で博士（法学）を取得。成城大学法学部教授などを経て、学習院大学法務研究科教授（法学）

須賀晃一［スガコウイチ］
一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。同大学院で博士（経済学）を取得。福岡大学経済学部教授などを経て、早稲田大学政治経済学術院教授（経済学）

後藤玲子［ゴトウレイコ］
一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。同大学院で博士（経済学）を取得。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授などを経て、一橋大学経済研究所教授（経済哲学、経済政策）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[壱萬弐仟縁]

図書館で誰か上巻を借りているのかも。先に本巻で。ギバード・パラドックス：強い要請をする自由の条件はもっともらしく聞こえるが、それ自体に矛盾をもつ（５１頁）。貧困、失業、窮乏、飢饉などの　矯正可能な（・点）剥奪と伝染病、環境破壊、種の絶滅の脅威、動物ｊへの執拗な残虐行為、悲惨な生活条件を考えれば、その限定性の意味は大きい。ダーウィンを適度に必要とするのみ（１３０頁）。自由は目的を達成する機会を与える。潜在能力を達成しようとする際、実質的機会に関連する（１３５頁～）。

2015/04/05

[roughfractus02]

定義域の非限定性(集合的選択ルールに個人の順序全ての集合を含める)、パレート原理(全員が同じ選択肢を選好する)、最小限のリベラリズム(最低2人の個人がいる場合、個々人が決定できる選択肢のペアが1つ存在する)の3条件を満たす社会的決定関数は存在しない。著者はゲーム理論的にこの帰結を導き、理論が選択させる自由と行為者が選択する自由を分け、ノージックの積極的/消極的自由の区別に注目しつつ、後者の2者関係を3者関係に修正して偶然性を導入する。すると、自由の選択は行為者の生存権と社会環境や機会に関わることがわかる。

2020/07/08