内容説明
近年、再び脚光を浴びる知覚の哲学の全体像を、大胆かつ明快な見取り図でもって描く。知覚の哲学、最前線。
目次
第1章 序論―鍵となる三つの原理
第2章 センスデータ説
第3章 副詞説
第4章 信念獲得説
第5章 志向説
第6章 選言説
第7章 知覚と因果
第8章 知覚と心の科学
第9章 知覚と視覚以外の感覚モダリティ
著者等紹介
フィッシュ,ウィリアム[フィッシュ,ウィリアム] [Fish,William]
マッセー大学人文・社会科学部准教授。2001年にノッティンガム大学で哲学の博士号を取得。専門は知覚の哲学
源河亨[ゲンカトオル]
慶應義塾大学博士課程。専門は知覚の哲学、心の哲学、分析美学
國領佳樹[コクリョウヨシキ]
いわき明星大学非常勤講師。首都大学東京大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専門は現象学、フランス哲学、知覚の哲学
新川拓哉[ニイカワタクヤ]
北海道大学博士課程。専門は知覚の哲学、心の哲学
山田圭一[ヤマダケイイチ]
千葉大学文学部准教授。東北大学大学院文学研究科文化科学専攻博士課程修了。博士(文学)。専門は、分析哲学、認識論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Reina SAIJO
3
英語圏で盛り上がりを見せている知覚の哲学、その待望の入門書が日本でも翻訳されたのが何より喜ばしい。論争状況を整理するためのテーゼを解説し、主要な立場を5つの章(センスデータ説、副詞説、信念獲得説、志向説、選言説)で紹介し、残りの3章では、知覚と因果、知覚の哲学と認知科学の成果(特に<ノーマルではない>とされる知覚の現象の指摘)の関係、そしてそもそも視覚や聴覚といった感覚はどのように区別され特徴づけられるのか、という感覚についての議論と関連領域の内容も豊富に扱われている。2014/09/23
田蛙澄
2
マクダウェルを読んだりしてて、論争相手であるセンスデータについてあまりちゃんと知らないし、志向説もティム・クレイン経由でなんとなく知ってる程度だったので、体系的に相互関係が知りたくて読んだが、その点では非常に満足のいく本だった。しかしそもそもの現象原理で、現象してるならその対象が存在するとされてるのが引っかかった。それは表象の性質で、現象はそれが存在しなくてもあり得る性質ではないのか。まあ定義の問題だからいいのだろうが、そこら辺の違和感や対象と心で性質が二分されてる点が、カント的協働を漏らしてる気がした。2020/01/05