内容説明
サンデルの政治哲学が、現代社会にもたらす新たな可能性とは何か?コミュニタリアニズムがさまざまな領域に与えた影響を論じ、そのフロンティアを開拓する。
目次
第1部 コミュニタリアニズムの思想的展開(リベラル・ナショナリズム;グローバルな正義論;環境倫理・世代間倫理;性差と家族・子ども―「正義とケア」論争から生成的コミュニタリアニズムへ;宗教)
第2部 コミュニタリアニズムの実践的展開(公共政策学―共通善の政策科学;正義・共同体・法―コミュニタリアニズムの憲法論的含意をめぐって;福祉;学校、コミュニティ、ボランティア―なぜ人格形成を重視するのか)
第3部 日本におけるコミュニタリアニズム(南原繁;賀川豊彦;宇野弘蔵―マルクスのコミュニタリアン的解読;戦争責任;コミュニタリアニズムのフロンティア―その到達点とビジョン)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
「デシャリットは、近い将来世代(現代から八~十世代くらい先…)と遠い将来世代まで(三十世代くらい先)とを区別し、異なる義務を割り当てている。彼によれば、近い将来世代に対しては、われわれは積極的義務と消極的義務の両方を負うが、遠い将来世代に対しては、積極的義務は負わず、強い消極的義務のみを負うという…積極的義務とは…資源を提供する義務…デシャリットは2993年とか3993年に生きている人と石炭のアクセスを共有しようといった主張は馬鹿げたものとみなさらるだろう、と述べて遠い将来世代に対する積極的義務を退ける」2018/11/01