出版社内容情報
人間社会に普遍的な規範は存在するか。価値観や文化の多様性と相対性を乗り越えて。経験的事実に即して規範の正当化をめざす自然主義的立場からする、新しい人権論。
そもそも人権とはいかなるもので、なにゆえそれは尊重され保障されるべきなのか。自然権や自律性などの特定の価値に依拠しない、人間に関する「事実」=人間の本性に基づく人権の「脱-価値論」的な正当化論の探求。進化生物学の知見と観点を活用する自然主義的立場から、「繁殖資源獲得機会の配分」の原理として、人権を位置づける。
はしがき:進化生物学の人間理解と法
第1章 人権は「普遍」か:相対主義による人権批判
1.人権概念に関する予備的整理
2.マッキンタイアの人権批判
3.文化相対主義の人権批判
4.相対主義的人権批判への反論
5.文化相対主義の「普遍性」否定力
第2章 人権の尊重はなぜ正しいのか:憲法学、法哲学での人権正当化諸理論
1.自律性に基づく人権の正当化
2.「自律能力基底的人権論」への批判
3.その他の人権正当化諸説
4.人権正当化論の問題点
第3章 人間の「本性」とは:「人間の普遍」の生物学的探求
1.生物学的観点の活用
2.生物の「目的」
3.人間の「目的」
4.反論と回答
5.生物としての人間
6.集団生活
第4章 事実から規範は導出できるか:手段としての道徳規範
1.事実からの規範の導出
2.実践的判断と道徳的判断
第5章 人間社会に普遍的な規範とは:集団存立と「繁殖資源獲得機会の配分」
1.集団成立の条件
2.規範としての「配分」
第6章 人権は普遍か:「配分」原理としての人権
1.「繁殖資源獲得機会の配分」を見る視座
2.固定的配分としての身分制
3.固定的配分の構造的難点
4.市民革命と流動的配分としての人権保障
5.「配分」的人権論への疑問
終章 「自然主義の人権論」の意義
参考文献
あとがき
索引
内容説明
自律性や「各人の平等」といった特定の価値に依拠しない人間に関する「事実」=「人間の本性」に基づいた、人権の自然主義的な正当化論。進化生物学の知見と観点を活用する立場から、「繁殖資源獲得機会の配分」原理として人権を位置づける。
目次
第1章 人権は「普遍」か―相対主義による人権批判
第2章 人権の尊重はなぜ正しいのか―憲法学、法哲学での人権正当化諸理論
第3章 人間の「本性」とは―「人間の普遍」の生物学的探求
第4章 事実から規範は導出できるか―手段としての道徳規範
第5章 人間社会に普遍的な規範とは―集団存立と「繁殖資源獲得機会の配分」
第6章 人権は普遍か―「配分」原理としての人権
第7章 「自然主義の人権論」の意義
著者等紹介
内藤淳[ナイトウアツシ]
1968年茨城県生まれ。大阪大学大学院法学研究科博士前期課程修了。国際交流基金職員を経て、一橋大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。一橋大学国際共同研究センター非常勤研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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