出版社内容情報
大地と海洋の輸郭を初めて地図に描いたほか、太陽と月の回帰現象を見極め、それに使う道具を時を計る道具──時計として用いることを発見したとされる古代ギリシアの哲学者、アナクシマンドロス。現在の科学的世界観の祖ともなる偉業をなした彼のコスモス像とはどのようなものだったのか。古代ギリシアの神話的世界観が現在の科学的世界観へ変貌していく様子を、従来の難解な学術用語による哲学史的解説でなく、基本的な数学の例をツールに具体的にアプローチする。現代科学にいまなお生きる初期ギリシアの思想的遺産をわかりやすく解説するテキストである。
関連書、同著者:
『コペルニクス的転回の哲学』(2001年、小社刊)、『時間の民族史』 (2003年、小社刊)ほか。
第一章 知識の脱神話化と説明原理
第一節 神話的な世界観の克服
第二節 系譜的な創世論の威力
第三節 逆説的な克服劇の実像
第二章 宇宙の初期状態と天空構造
第一節 力動的な諸原理の均衡
第二節 相対的な諸原理の総合
第三節 普遍的な世界像の構想
第三章 無限の根本原理と世界創世
第一節 周期的な高湿域の移動
第二節 歳差的な天体環の運動
第三節 運命的な世界史の終焉
むすび
内容説明
勃興しつつあるペルシア帝国と爛熟したエジプト文明に囲まれるギリシア。拮抗する文明の狭間で、人間は時間について語り始めていた。時の経過は異文化対立を貫く。太陽と月の回帰現象から「時計」を着想した哲学者、アナクシマンドロスへの深い眼差しで描く、哲学史の新境地。
目次
第1章 知識の脱神話化と説明原理(神話的な世界観の克服;系譜的な創世論の威力;逆説的な克服劇の実像)
第2章 宇宙の初期状態と天空構造(力動的な諸原理の均衡;相対的な諸原理の総合;普遍的な世界像の構想)
第3章 無限の根本原理と世界創世(周期的な高湿域の移動;歳差的な天体環の運動;運命的な世界史の終焉)
著者等紹介
瀬戸一夫[セトカズオ]
1959年生まれ。1990年東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程単位取得退学。2002年山崎賞受賞。現在、成蹊大学法学部教授
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