時間の民族史―教会改革とノルマン征服の神学

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  • サイズ A5判/ページ数 349,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784326101436
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C3010

出版社内容情報

中世ローマ教会は「来世」を描き未来を保証することで人々を統治し、宗教的・政治的権力のすべてを手にしていた。その統治機構が乱れを見せ始めると、イングランドで政教分離と独自の統治体制をめざす改革が起こる。本書は、カトリックが保証すべき未来を担保しきれなくなったその時、民族を基礎に保証されるべき未来を打ちたてようとした「民族国家」の誕生を、11世紀イングランドを舞台に繰り広げられた天才的な神学者の宗教改革の中に見出す。なぜ「民族国家」であったのか。運命共同体を構成する「債務化」と「時間」をキーワードに、現代人の「未来」に対する考え方の端緒と「国家」信仰の謎に迫る。

緒論 資本主義の債務化と時間信仰

第一章 西欧世界の自律化と二元統治
第一節 メロヴィング朝の興亡と農業革命
第二節 カロリング帝国の分裂と帝権理念
第三節 社会的構造変動の進展と時間観念

第二章 教会改革の政治化と教権支配
第一節 中世的時間収奪の蔓延と封建体制
第二節 主権在神的統治の復興と倫理改革
第三節 聖俗共棲的支配の原像と政教分離

第三章 征服王権の正統化と構造改革
第一節 寓喩的世界創造の構図と時間現成
第二節 ランフランクスの神学と首位論争
第三節 時間的信仰態勢の定礎と民族国家

結論 文字言語の世俗化と債務履行

付論一 現象学的人類学の構図と時間問題(B・アダム批判)
付論二 社会学的時間論の検討と近代世界(A・ギデンズ批判)
付論三 文献学的方法論の死角と逆説論理(H・S・オフラー批判)
註 凡例
索引

内容説明

中世ローマ教会による欧州大統合計画は破綻する。そのとき、現在に連なる“民族国家”の歴史が始まった。われわれはなぜ、“国家”を必要とするのか?第28回山崎賞受賞講演作品。

目次

緒論 資本主義の債務化と時間信仰
第1章 西欧世界の自律化と二元統治
第2章 教会改革の政治化と教権支配
第3章 征服王権の正統化と構造改革
結論 文字言語の世俗化と債務覆行
付論1 現象学的人類学の構図と時間問題(B.アダム批判)
付論2 社会学的時間論の検討と近代世界(A.ギデンズ批判)
付論3 文献学的方法論の死角と逆説論理(H.S.オフラー批判)

著者等紹介

瀬戸一夫[セトカズオ]
1959年生まれ。1990年東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論博士課程単位取得退学。2002年山崎賞受賞。現在、成蹊大学法学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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