内容説明
本書の主役は、権力や富もなく、多国籍企業の物質主義、消費文化に生活圏を侵食されながらも、伝統的な相互扶助のネットワークと助け合いの文化を土台として民衆生業で支え合い、したたかに現実を生きる人々である。かれらの生活実践や生産活動から、それぞれの地域におけるもう一つのグローバル化や、国家によらない共生のかたちを探る。
目次
第1部 小さな民の生き様―民衆生業と移住(観光という日常―バリ島の小さなホテルで働く人々;民衆生業の社会経済圏―インドネシア・ソロ地方出身のジャムー売りの世界;移動する朝鮮族と家族の分散―国籍・戸籍取得をめぐる「生きるための工夫」;四国の山村における国際結婚―フィリピンからの「小さな民」の生き方)
第2部 人権と援助―少女・先住民・地域住民の声(少女に対する暴力―「伝統」に挑む権利ベース・アプローチ;“他者”との共存を求めて―フィリピン先住民族の自己表象;開発と紛争―インドネシア・アチェのODA事業による土地収用と住民の周縁化;「普遍的価値」と「人間の安全保障」―ODA大綱の見直しをめぐって)
第3部 モノからみる世界と日本―グローバル化と民衆交易(コーヒーから見える世界―東ティモールのコーヒー生産者とフェアトレードを考える;インドネシア・パプア州でのカカオ民衆交易―共に生きる関係を目指して;グローバル市場とフェアトレードの課題―南米コロンビアの伝統的金採取業の挑戦と挫折)
第4部 海の民の豊かな世界―国家と国境の向こうへ(海民の社会空間―東南アジアにみる混淆と共生のかたち;ひとはいかに海を利用してきたか―海域東南アジアの海民社会から考える;フィリピンとマレーシアのあいだの海域世界―スル諸島ムスリム社会の周辺化と自律;海民と国境―タイに暮らすモーケン人のビルマとインドへの越境移動)
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