内容説明
グランドラ、褐色の村、友愛の土地よ。君の中で支配するのは人民、おお町よ。一九七四年、ラジオから流れるこの曲が、この歌詞が、旧体制に終止符を打つための軍事作戦開始の合図だった―。ほぼ無血に終わった革命の全貌を、ドキュメンタリータッチで描く。
目次
第1章 「偉大さ」の代償(中立、いや忠実、それとも…;愚民たれ、小国民たれ、そして私が指導者だ!;もう一人の独裁者、カルースト・グルベルキヤンの物語;死はいつもゆっくりと ほか)
第2章 「革命」の二四時間(今夜のラジオに注目;革命の歌が流れた!;いざ、リスボンへ;コメルシオ広場での攻防 ほか)
第3章 果てなき帝国(初めてのメーデー;「革命」の反響;「革命」背負った兵隊さん;「反革命」への反動 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
10
1974年の「カーネション革命」を中心に、それ以前のサラザール時代、そしてそれ以後の革命で民主化したポルトガルの現代史を描く。著者が冒頭で述べているように、本書の文体はかなり軽妙で、肩の力を抜いてエッセイ感覚で読める。それでいて、学者として基本は外していない。革命を中心に据えることで、サラザール時代とそれ以後のコントラストが非常に印象的だ。優れた外交家にして国民の自由と豊かさを奪ったサラザール、一人のカリスマによって支えられた体制は、その死と共に崩れ始める。ほぼ無血の革命ののちに、ポルトガルを待つ未来とは2023/05/27
Fumihiko Kimura
2
映画「リスボンに誘われて」を観て現代ポルトガル史に興味を持ち読了。映画にも出る「サラザール」「PIDE」「タラファル」などの単語の意味する所が大変良く理解できたし、74年のクーデターが革命に変化していく様が流れのよい文章で再現され感動的ですらあった。革命後35年を経た執筆当時、それを相対化しつつあるポルトガル国民と、それに若干の寂しさを感じているように思われる筆者の筆致に、筆者のポルトガルへの愛情が滲んでいるよう。良書!2014/10/25
kozawa
0
愛情と主観に満ちた偏愛ポルトガル近現代史。面白い。そして欧州史2009/12/23