内容説明
モダニスト作家たちが、テクノロジーに対して見せた反応を鋭く考察!20世紀初頭のテクノロジーが人間に与えた影響という、現代にも通じる考察を明快な論調で示す。
目次
第1章 エリオットは観察する
第2章 パウンドはタイプを打つ
第3章 ジョイスは書写する
第4章 ベケットは思考する
補遺 科学、アクセル、地口
著者等紹介
松本朗[マツモトホガラ]
上智大学文学部英文学科准教授。東京都立大学大学院人文科学研究科博士(文学)。専門は20世紀イギリス文学、モダニズム文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチアカデミー
14
技術や生活環境がいかに作品に影響を与えるかという視点からモダニズム作品を読み解く。事物や場所だけでなく作品の手法もまたモダン空間にアフォードされたものであるという読みを堪能。群衆や通勤者の姿を観察し、時計や電話といったモダンな道具によって変化した生活を描くエリオット、タイプライターと辞典の恩恵を受けたパウンド、植字工泣かせの文字を創作し言葉をずらし続けるジョイス、コンピューター言語のようにいくつもの可能性を保持したテクストを記すベケット。作品の創作過程を解明するかに見せながらも鋭い読みが提示される。2015/07/31
つまみ食い
3
「技術は、ある行動を無自覚に強いる形で、徐々に人びとを飲み込んでいくものである」(本書 6頁)…… メディア(タイプライター、映画…)や都市の景色の変容とジョイス、エリオット、ベケットらの作品を論じる。2023/03/01
EnJoeToh
3
絶賛します。2009/05/29
takao
2
ふむ2023/06/29
サイトー
2
モダニズム文学の発展には同時代的に機械の発達があるという見立てから数々の作家を捉えなおした脅威の批評本。当然安易な社会反映論の切り口で終わるはずがなく、文体批評の観点から難解な作品の入り口をまるで隙間を見つけたように読み解いていく筆者の手腕は大変スリリングだった。エリオットの詩を全く別の視点から読み直した章は目から鱗であり、機械と詩の間を生きる人間の知覚の有機体論がレトリックを介して展開されていた。2023/03/02
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