目次
「屋根うらの絵本かき」(ちばてつや)
「疎開っ子数え唄」(巴里夫)
「白い雲は呼んでいる」(永島慎二)
「荒鷲ゴンちゃん」(わちさんぺい)
「少年マーチ」(小沢さとる)
「山ゆかば!」(あすなひろし)
「八月の友人」(石坂啓)
「ストライク」(弘兼憲史)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yomineko@猫と共に生きる
84
戦争は弱い立場の人達、特に子ども達が犠牲になる。ちばてつやさん、ご苦労されたのですね。疎開の子ども達どんなに辛く苦しかったでしょうか。動物達も犠牲になりました。賢い犬は軍用に。後の犬猫兎は毛皮になって行った。弘兼憲史さんの物語は号泣。平和に仕事をして生活出来る自分に対して、大好きな野球も出来ず特攻で消えて行った命。戦争に何の意味があるのでしょうか。子ども達や若い人々の未来の夢と希望を奪った戦争が憎いです。今は漫画でリアルな戦争を見る事はないですが、ほんの少し前までは普通にあったのですね。おすすめです。2022/03/07
keroppi
82
金の星社「漫画家たちの戦争」シリーズ。戦争を始めるのはいつだって大人たちだが、戦争によって苦しむのは大人も子供も同じこと。戦争中の子供たちを描いた漫画が集められている。租界先で苦しんだり、親が死んでしまったり、戦場に巻き込まれたり。ちばてつやはじめ作家たちが、実際に小さい頃、戦争を経験したり肌で感じて描いているのだろう。1970年代頃までは、こういう作品が少年漫画誌に描かれていたんだな。今はなかなか見ることがない。そういう意味でも貴重な作品集だと思う。2022/02/08
へくとぱすかる
78
ちばてつや「屋根うらの絵本かき」は、辛いながらも、幸い日本に帰って来ることができた回想であるが、巴里夫「疎開っ子数え唄」は、疎開生活の想像以上の苦しさを描く。充分に食べるものもないのに、きびしい教育の日常で、子どもたちの間にはいじめが横行する。戦争が終わって帰れた子どもはさておき、親が死んでしまった場合、残された子どもはどうなるのか。過去にあまり言及がなされなかった問題を、ずばりと指摘する。収録作のほとんどは子どもたちの悲劇を描いて、ふたたびこんな時代を来ないようにする決意を私たちに突きつける。2019/12/18
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
57
戦争によって子供達がどう過ごしてきたかについて書かれています。集団疎開、戦争で引き裂かれた外国人との交流、そして特攻隊。実際の戦場だけでなく、戦争のために巻き込まれた子供達が不憫でなりません。最後の弘兼憲史さんの特攻隊のお話「ストライク」は、沢村栄治さんを思い出しました。戦争がなければ野球を生涯出来たでしょう。2018/10/04
読特
50
戦後78年目になる。幼少期に戦争を経験した方々は80歳を超える。世代で一括りにはできない。影響を受けたこと、感じたことはそれぞれだ。親ガチャと言えばそうだったかもしれない。ただでさえ、厳しい時代。親に先立たれてしまった子の苦境は図りしれない。占領地で育つ。迫りくる”敵”。奪われる思い出。若き身で参加する戦い。何故争うのか?平和でさえあれば・・・戦後、彼らが成人し社会の中枢を担っている期間に国も復興し、高度成長を果たした。今老いて、国も衰退…そうなってはいけない。語り継ぎ、続けなければならないものがある。2023/01/01