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出版社内容情報
さよ子は、二頭のシェパード犬を飼っていたが、戦争のさなか、軍用犬として出征させなければならなかった。やがて、三頭めの愛犬とも分かれる日が……。愛するものを失う苦しみを切々と描き出す。 小学校高学年~
内容説明
その日、さよ子がかわいがっていた2頭のシェパード犬が“出征”した。兵隊とともに戦うため、軍用犬として戦地へむかうのだ。昭和17年、戦争のさなか―。さよ子は、軍用犬にならずにすむ柴犬を飼いはじめた。しかし“供出命令”が、ふたたび愛犬をうばう。「お国のために役立てる」という理由で、むりやりに集められた犬たちは、どこへ行ってしまったのだろう…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かいゆう
32
『お国のために、犬を役立てましょう』犬の毛皮を兵士の防寒衣や帽子にするため、飼い犬の供出命令なるものがあったと知り、身震いしました。「人間がやっている戦争で、なんで犬まで死ななければならないの」言葉に出せないけれど、さよ子と同じように思いながらも、犬を差し出すしかなかった飼い主さんたちを思うと胸が痛みます。作者の井上さんは、あとがきで動物管理所の檻の中に閉じ込められた犬たちを思い出したと書かれています。現在も人間の身勝手で多くの生命が絶たれているということも合わせて、多くの人に知ってもらいたいです。2016/03/10
はむちゃん
10
戦争で軍用犬や「お国のため」として供出命令が出されたり…戦争とそのために連れて行かれる犬の物語。今の時代は犬を手放さないといけない、そんなことはありませんが、もし戦争がまだあれば犬は連れて行かれていたかもしれません。私は1匹の犬を飼っているので急にそうなったらショックで動けなくなります…そんな状況でも我慢していたのかと思うと、この様なことがあったということ。この様なことはもうあってはいけないのだということ。をたくさんの人に知ってもらいたいです。2016/03/02
本多
3
図書館:戦争と犬のお話。学校で著者の公演があり、気になったので読んでみました。著者のお話では、未だにこんな事は無かった、と言い張る人がいるそうです。確かに酷い話でした。動物が大好きな人間には考えられない様な描写ばかりです。しかし、いくらヒドイ事だとしても逼迫した状況下のなかでは、何が起こるかはわかりませんし、追い詰められれば他を思いやる事などできません。大切な事は、この話を否定するのではなく、もう二度と、この様なことが起きないようにしていくことだと思いました。2012/06/24
水色さくら
0
◎2013/10/26
sister-ray
0
12歳の娘に勧められて再読。ポップなイラストの新装丁本よりも、この1986年初版本の表紙、挿絵のほうがマッチしている。 酷く悲しい展開に目を背けたくなるも、子供の心を大切にする大人達の元で育った「さよ子」の明朗で素直さたるや。最終場面は、さよ子の新しい希望に、敗戦から逞しく立上る日本の姿が重なる。 個別の事情を考慮せず「空気を読んで行動する」ことを強制する現代社会。戦中と変わらないのではないか。 動物の健気は人との愛情から生まれる。ペットブームの昨今、本当に犬が好きで飼っている人はどれだけいるのだろうか。2019/04/25