内容説明
バンカーよ、金融庁の声を待つな!市場の真理を見抜き、自ら先に動け!!豊富な図表が教えてくれる市場分析の心得と目のつけどころ。『週刊金融財政事情』連載で話題の論文、大幅加筆・再構成を施し待望の単行本化!
目次
第1部 あしたの地域金融市場の見立て方(人口減少は預貸ギャップを拡大し地方市場を蝕む;社会移動の奔流は急速な市町村格差を促す)
第2部 あしたの地域金融機関のつくり方(地域銀行の最終解は合併か独自モデルかの二者択一;信用金庫は個別の多様化とシステムとしての見直し)
第3部 あしたの地域経済の育み方(視点を変えた枠組み―ILO産業分類と7つの基本軸;アウトバウンドとインバウンドへ資源を振り向けろ―総合戦略策定検証;地方創生に向けた自治体と地域金融機関への宿題)
補遺 本書を読むための手引き―バンカーのための「科学と科学史」についての随想
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ももかさん
20
なるほど~。そういう見方もあるのか。この手の本でここまで納得感を得られたのは初めてです。さすかに金融庁へ招聘されただけありますね。こういう数学的なものの先駆けがスルガ銀行なのかな。地域金融の経営者達は絶対に読むべし!2016/09/19
koji
10
地域金融機関のあり方を金融庁目線で描いたものとしては、同時期に「捨てられる銀行」が発売され、少し気の毒な面がありましたが、本書には、著者の長年に渡る「地域金融システムのリデザイン」研究が丁寧に描かれていて、私は刺激を受けました。著者は金融庁参与であり、「地域金融機関統合・合併推進派」として著名ですが、その理論的根拠を的確に分析していきます。とりわけ、地方創生に絡めて地方税を産業別付加価値額の代用変数とし、地域毎にインバウンド・アウトバウンド・ローカルの3産業分類にどう力を入れていくかは目から鱗の指摘でした2016/09/24
rabbitrun
8
誰でもアクセス可能なデータを分析するだけで社会問題についてこれほど実り豊かな提言ができることが驚異的。社会科学、統計学が創造的な学問だと初めて知った。2017/10/29
Takateru Imazu
2
地域金融のあしたの探り方 -人口減少下での地方創生と地域金融システムのリ・デザインに向けて 2016/2/29 著:大庫 直樹 市場の真理とは何か。大量のデータのなかに隠されている関係性を読み解くことである。金融業の産業構造を解明していくことである。つまり、複数の変数がどのように関連しているか、解明していくことである。それによって、銀行業の構造をシステムとして理解していくことができるようになる。 本書の構成は以下の8章から成っている。 ①人口減少は預貸ギャップを拡大し地方市場 2019/02/11
39taka
1
①資金利鞘は預貸ギャップに連動→預貸ビジネスはコモディティビジネス。預金は人口減少を高齢化が打ち消し緩やかな減少、貸出は生産年齢人口の減少をもろに受け急激に減少、預貸ギャップは確実に拡大。預貸率は拡大していく。金融商品販売の強化か、自らの余資運用の強化か。②金利は、新規約定ベースとストックベースを分けて考える。③地域の一番手行は全方位型営業(特定のセグメントに絞った営業は不可)。⑤産業を「顧客がどこにいるか」でILOの3つに分類し、人口との関連を見る。アウトバウンド型産業は、域内人口の影響を受けない。2018/08/25