内容説明
明治29年(1896年)3月から同30年にかけて『時事新報』に掲載された福沢諭吉のメッセージ。百年以上も前とは思えない、人生のみちしるべとなる大切なひとつひとつの話から、諭吉の「愛する日本人への」こころが伝わってきます。
目次
人間の安心(人生は戯れと知りつつ戯れよ)
善悪の標準は人の好悪に由て定まる(善悪の基準は人が好むか嫌がるか)
善は易くして悪は難し(善行のほうが悪行よりもずっと易しい)
因果応報(人間の一挙一動には微妙に因果関係がからまっている)
人間の心は広大無辺なり(人間の心は広大無辺、虚無を知りつつ一喜一憂)
善心は美を愛するの情に出づ(善良な心は美を愛する心情から生まれる)
事物を軽く視て始めて活溌なるを得べし(世の中を少し軽く見るくらいのほうが決断も行動も早い)
至善を想像して之に達せんことを勉む(至善への道は限りがないので先人の教えが必要)
人間社会自ら義務あり(社会と関わりを持たずに生きるなんてことは不可能)
一言一行等閑にすべからず(一つの言葉、一つの行動もなおざりにしてはいけない)〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月讀命
58
明治維新を迎え日本が列強に飲み込まれない為には、国民ひとりひとりが知識の向上と意識改革をはかり、異国に負けないだけの民族になる事が必要であると説く。福沢は、一方で「学問のすゝめ」等を書きつつ、他方では、日常生活に照らし合わせながら、生活の在り方、人生の在り方をこまごま書き綴った百のテーマを福翁百話として書きしるし、著者が現在でも生かせる話題を選んで載せている。読んでいて、耳の痛くなる話題も多々見られる。福沢諭吉は近代日本の礎を築きあげた人であり、現在でも紙幣になるほどの偉人であり、読み齧ってもいいと思う。2014/02/16
壱萬参仟縁
37
序の道:己れの欲せざるところを人に施すなかれ。古代の聖人の教えを引き合いに出した。 この逆は、最善で、円満極意。生来の心という(15頁)。 人間の心は広大無辺、虚無を知りつつ一喜一憂(24頁): 貧富も苦楽も一時の戯れ、時過ぎれば、跡形もない。 2016/07/04
よねちゃん
1
福翁の考え方は新しい。よい意味で軽いと思います。2011/07/23
たいちん
0
「まず獣身を成して、後に人心を養う」2022/06/23