出版社内容情報
放射光は赤外領域からX線にまで広がる幅広い領域をカバーする強力な光源であり、基礎科学、応用科学のさまざまな分野で利用されている。物質分析に対するニーズもだんだん高度化し、より小さい領域を、より速く、そしてより精密に分析することが要求されるようになった。一方で、放射光科学技術も日々進化しており、これらの要求にも応えるような新しい分析手法も生まれつつある。いまでは放射光利用を抜きにして物質分析は考えられなくなってきたようにも思われる。本書では、世代を超えて進化している放射光がどのような原理で発生し、どのように進化してきたのか、そして放射光を利用した分析手法にはどのようなものがあるのか、またそれらが物質分析にどのように利用されているかを紹介する。
本書は8つのChapterから構成されている。Chapter1では電磁波の特性と物質の相互作用について、そして強力な電磁波である放射光の進化の歴史を概観する。Chapter2では放射光発生の原理、放射光のユニークな特長について詳述する。Chapter3~8は放射光を用いた物質分析手法、X線屈折、反射、X線回折、散乱、X線吸収、X線光電子分光、X線非弾性散乱、そして放射光を用いたイメージング技術について紹介する。そしてChapter9では、究極のX線光源ともいえるX線自由電子レーザーの原理と利用研究について述べる。
【目次】
Chapter1 放射光と物質分析
1.1 電磁波とは
1.2 X線と物質の相互作用
1.3 放射光進化の歴史
Chapter2 放射光の原理と放射光施設
2.1 偏向磁石からの放射光
2.2 アンジュレーターからの放射光
2.3 電子ストーレッジリングの構造と放射光研究施設
2.4 放射光ビームライン
Chapter3 放射光X線の屈折と反射
3.1 X線の屈折
3.2 X線の全反射
3.3 X線反射率
3.4 X線反射率の利用研究
Chapter4 放射光X線弾性散乱,回折
4.1 原子からの散乱
4.2 非晶質体からの散乱
4.3 小角散乱
4.4 広角散乱
4.5 放射光を利用した回折・散乱研究例
Chapter5 放射光X線吸収分光
5.1 XAFSとは
5.2 XANES分光法
5.3 EXAFS分光法
5.4 XAFS実験法
Chapter6 放射光光電子分光
6.1 光源エネルギーの可変性の利用
6.2 大強度,マイクロビームの利用
Chapter7 X線非弾性散乱
7.1 蛍光X線分析
7.2 X線非弾性散乱分光
Chapter8 放射光イメージング
8.1 吸収コントラストイメージング
8.2 位相コントラストイメージング
8.3 X線CT法
8.4 XAFSイメージング
8.5 コヒーレント回折イメージング
Chapter9 X線自由電子レーザー(XFEL)
9.1 自由電子レーザー(FEL)の開発
9.2 X線自由電子レーザー(XFEL)の開発
9.3 XFELの利用



