出版社内容情報
社会実装されている金属、セラミックス、半導体材料などの多くは多結晶であり、社会インフラとしての構造物、情報機器、太陽電池などに用いられ、私たちの生活を便利で快適なものにしている。多結晶は様々な方位やサイズをもつ多くの結晶粒と、隣接する結晶粒間の境界である粒界で構成される非常に複雑な組織構造をもつことが特徴である。多結晶組織の複雑さや粒界の多様性から体系化が困難であるため、従来にない優れた性能や機能を示す材料開発の指針となる学理の構築にはいたっていない。
本書は、多結晶材料開発手法を革新する学理の構築を目指し、実験と理論・計算・データ科学を融合した「多結晶材料情報学」の開拓を進めた6年半にわたる研究プロジェクトの成果を、材料科学の教育・研究や実際のものづくり現場に広く届けたいという思いから企画された。本書は、新しい学問領域である「多結晶材料情報学」の教科書・専門書であり、多結晶材料情報学を支える結晶学と情報学の基礎、および多結晶シリコンをモデル材料にして創出された研究成果の紹介から構成される。
本書で紹介する研究成果は、汎用性に優れ他材料に展開可能なものも多く、社会的課題を解決したり、産業競争力を強化したりするような革新的材料の創製や人材育成への貢献が期待される。
目次
第1章 多結晶材料の基礎
第2章 情報学の基礎
第3章 画像データ×機械学習で分かること
第4章 結晶方位データ×理論計算で分かること
第5章 理論計算×機械学習で分かること
第6章 実験×理論計算×機械学習で分かること
著者等紹介
宇佐美徳隆[ウサミノリタカ]
1993年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了。現在、名古屋大学大学院工学研究科物質プロセス工学専攻教授。博士(工学)。専門:結晶工学、応用物性
大野裕[オオノユタカ]
1992年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻修士課程修了。現在、東北大学金属材料研究所特任研究員。博士(理学)。専門:格子欠陥・ナノ構造、結晶工学
沓掛健太朗[クツカケケンタロウ]
2007年東北大学大学院理学研究科博士課程物理学専攻修了。現在、名古屋大学未来材料・システム研究所准教授、東北大学特任教授(客員)。博士(理学)。専門:結晶工学、機械学習
工藤博章[クドウヒロアキ]
1996年名古屋大学大学院工学研究科電気工学・電気工学第二及び電子工学専攻博士課程後期課程修了。現在、名古屋大学大学院情報学研究科准教授。博士(工学)、技術士(情報工学)。専門:情報工学、生体情報処理
小島拓人[コジマタクト]
2016年豊田工業大学大学院博士後期課程満期退学。現在、産業技術総合研究所研究員。博士(工学)。専門:結晶工学、太陽電池
横井達矢[ヨコイタツヤ]
2015年大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻博士後期課程修了。現在、名古屋大学大学院工学研究科物質科学専攻講師。博士(工学)。専門:格子欠陥、計算材料科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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