出版社内容情報
コクセター群と対称式の基礎から出発し、その応用例として、あみだくじの数え上げをめぐる不思議な現象を紹介する。
コクセター群は、生成元と基本関係式から定義される群である。対称群はコクセター群の中で最も基本的な例であり、n次順列の簡約表示があみだくじで視覚化できることはよく知られている。
本書では「あみだくじの数え上げをすると、対称群や複素一般線型群の既約表現の次元公式が現れる」という不思議な現象を取り上げる。このふたつの次元はシューア・ワイル相互律により密接に関係しており、現在では、あみだくじと対称群および一般線型群の表現との関係は柏原クリスタル(結晶基底)の文脈で理解されている。柏原クリスタルは本来代数的な理論であり、理論の全体像を学べばその背景の深さと広さを実感することになる。そのような理論が美しい形で組合せ論に降臨する様を本書では垣間見ることができる。
本書後半では、ワイル群、複素半単純リー環のBGG 圏、カジュダン・ルスティック多項式、バイナリー多面体群など発展的話題を取り上げ、コクセター群がいかに現代数学で活躍しているかをいくつかの例を通して紹介する。
【目次】
序章
0.1 対称群
0.2 あみだくじ
0.3 群の表現
0.4 あみだくじの数え上げとフック長公式
0.5 あみだくじの単調減少あみだくじへの分解
1章 生成元と基本関係式を用いた群の表示
1.1 基本事項の復習
1.2 基本群とブレイド群
1.3 コクセター群
2章 コクセター群の基礎
2.1 長さ関数と簡約表示
2.2 あみだくじの基本定理の証明
2.3 コクセター群の忠実表現の構成
2.4 強交換性質
2.5 交換性質・消去性質とコクセター群
2.6 コクセター系の一意性・非一意性
2.7 有限コクセター群の分類
3章 コクセター群と半順序集合
3.1 ブリュア順序
3.2 放物型部分群と剰余類の最短代表元
4章 対称多項式
4.1 分割と支配順序
4.2 対称多項式
4.3 基本対称多項式と完全対称多項式の関係
4.4 基本対称多項式と冪和対称多項式の関係
4.5 完全対称多項式と冪和対称多項式の関係
5章 対称式環
5.1 逆極限と順極限
5.2 対称式環
5.3 対称式環の対合(involution)
5.4 対称式環上の内積
6章 シューア対称式
6.1 シューア多項式
6.2 ヤコビ・トゥルーディ公式
6.3 コーシー恒等式
6.4 歪シューア対称式のヤコビ・トゥルーディ公式
6.5 半標準盤とシューア多項式
6.6 コストカ係数
6.7 ホール・リトルウッド対称多項式
6.8 コストカ多項式とグリーン多項式
7章 対称式環の表現論的解釈
7.1 複素一般線型群の有理表現と多項式表現
7.2 対称群の加群圏のグロタンディーク群
7.3 対称群の既約指標の計算公式
7.4 対称群を用いた複素一般線型群の既約表現の構成
7.5 既約指標としてのシューア対称多項式
7.6 フック長公式とワイル次元公式
8章 あみだくじの数え上げ理論
8.1 ヴェクシラリ順列
8.2 スタンレー対称多項式
8.3 エーデルマン・グリーン対応
8.4 最長元w0に対するエーデルマン・グリーン対応
8.5 柏原クリスタルとモース・シリングの定理
9章 コクセター群のヘッケ環
9.1 カルタン行列,ルート系,ワイル群
9.2 複素半単純リー環
9.3 カジュダン・ルスティック多項式とBGG圏の既約指標公式
10章 バイナリー多面体群
10.1 正多面体の対称群
10.2 バイナリー多面体群
10.3 正多面体群とコクセター群
11章 コクセター元の広がり
11.1 コクセター元
11.2 コクセター数



