出版社内容情報
本書は微分方程式の初等解法と定性理論,およびそれらのロトカ・ヴォルテラ方程式への応用を解説したものである。微分積分と線形代数を習得した理工系の学生を対象にしている。
本書の前半は,微分方程式の標準的な内容をカバーするように構成されている。微分方程式の応用を具体的に意識できるように,生態学に関連したものを中心に具体的な微分方程式(例えば,天然痘に関する微分方程式やバクテリア個体群の成長に関する微分方程式など)を早い段階に登場させた。本書は微分方程式の解法だけではなく理論的な部分もカバーしており,微分方程式の力学系としての側面も解説する。
後半はより発展的な内容を含んでおり,ロトカ・ヴォルテラ方程式への応用そのものが主眼となる。
本文の理解を深めるために,各章には章末問題がついており,その略解も巻末についている。
第1章 微分方程式とは
1.1 微分方程式の解
1.2 微分方程式の例とその解
第2章 微分方程式の初等解法
2.1 変数分離型
2.2 同次型
2.3 1階線形微分方程式
2.4 ベルヌイ方程式
2.5 リッカチ方程式
2.6 完全微分型方程式
2.7 積分因子
2.8 高階微分方程式
第3章 定数係数2階線形微分方程式
3.1 定数係数2階斉次(同次)線形微分方程式
3.2 定数係数2階非斉次(非同次)線形微分方程式
第4章 変数係数2階線形微分方程式
4.1 変数係数2階斉次線形微分方程式の解の性質
4.2 変数係数2階非斉次線形微分方程式の解の性質
第5章 連立1階線形微分方程式
5.1 連立1階線形微分方程式と高階微分方程式
5.2 2元斉次型連立1階微分方程式系
5.3 n元非斉次型連立1階微分方程式系
5.4 n元連立1階微分方程式系の一般解
第6章 連立1階非線形微分方程式
6.1 連立1階非線形微分方程式の軌道・平衡点・周期解・安定性
6.2 線形近似
第7章 基礎定理と力学系
7.1 リプシッツ連続性
7.2 解の存在と一意性
7.3 解の最大存在区間
7.4 解の初期値に対する連続性
7.5 力学系
7.6 軌道
第8章 ロトカ・ヴォルテラ捕食者・被食者方程式
8.1 ダンコナの疑問
8.2 不変集合
8.3 保存量
8.4 ヴォルテラの原理
8.5 種内競争を考慮したロトカ・ヴォルテラ捕食者・被食者方程式
8.6 極限集合とリアプノフ関数
8.7 捕食者と被食者の共存
第9章 捕食者・被食者方程式
9.1 ガウゼ型の捕食者・被食者方程式
9.2 ポアンカレ・ベンディクソンの定理
9.3 ホリングII型の機能の反応
9.4 ベンディクソン・デュラックの判定条件
9.5 ホップ分岐
第10章 ロトカ・ヴォルテラ競争方程式
10.1 資源をめぐる競争
10.2 競争系・共生系
10.3 メイ・レオナルド方程式
第11章 捕食者を含む3種系とカオス
11.1 1捕食者・2被食者系
11.2 カオス
11.3 ポアンカレ写像
11.4 1次元写像
第12章 ロトカ・ヴォルテラ方程式の安定性
12.1 正平衡点の安定性
12.2 符号安定性
12.3 グラフ
12.4 VL安定性
12.5 マッカーサーのリアプノフ関数
12.6 飽和平衡点
第13章 ロトカ・ヴォルテラ方程式のパーマネンス
13.1 パーマネンスとパーシステンス
13.2 平均リアプノフ関数
13.3 レプリケータ方程式とB行列
付録A 章末問題の解答
今 隆助[コン リュウスケ]
著・文・その他
竹内 康博[タケウチ ヤスヒロ]
著・文・その他
目次
微分方程式とは
微分方程式の初等解法
定数係数2階線形微分方程式
変数係数2階線形微分方程式
連立1階線形微分方程式
連立1階非線形微分方程式
基礎定理と力学系
ロトカ・ヴォルテラ捕食者・被食者方程式
捕食者・被食者方程式
ロトカ・ヴォルテラ競争方程式
捕食者を含む3種系とカオス
ロトカ・ヴォルテラ方程式の安定性
ロトカ・ヴォルテラ方程式のパーマネンス
著者等紹介
今隆助[コンリュウスケ]
1975年福井県生まれ。2002年静岡大学大学院理工学研究科博士後期課程(システム科学専攻)修了。現在、宮崎大学工学教育研究部准教授・博士(理学)。専門:応用数学、生物数学
竹内康博[タケウチヤスヒロ]
1951年静岡県生まれ。1979年京都大学大学院工学研究科博士課程(数理工学専攻)修了。現在、青山学院大学理工学部教授・工学博士。専門:生物数学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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