出版社内容情報
本書は、群の表現論について最短距離で核心部分に触れることを目的とした書籍である。
全体は4部構成となっている。まず第I部では、初心者に向けてリー群の表現論に関する最低限の準備を行なう。第II部では、3次元回転群やその普遍被覆群SU(2)を例に、n次回転群SO(n) (n?3)の表現(特にその指標理論)と付随する無限次元擬(g,K)-加群について解説する。第III部では、n次Lorentz群SO(n-1,1)の表現とそれに付随する無限次元(g,K)-加群を中心に解説する。第IV部では、n次Lorentz群の既約表現と既約指標の決定に関する解説を行う。その後、拡大Gelfand-Tsetlin公式を応用してLorentz群SO0(n-1,1)およびその普遍被覆群Spin(n-1,1)のPlancherel型公式を学び、最後に負の定曲率空間上の測地流のスペクトル型がσ-Lebesguesであることを証明する。
本書の特筆すべき点として、複素回転群SO(n,C)のコンパクト実形であるn次回転群SO(n)の表現論から、別の実形n次Lorentz群SO0(n-1,1)の表現論へと、Gelfand-Tsetlin公式とその無限次元の拡張を通して”空中移行”できることを示したことである。本書の解説を通じて、それらが恰も背中合わせのように存在していることを解説する。
目次
Lie群とLie環の基礎
群の表現の基礎
回転群SO(n)の表現論
g=so(n),K=SO(n-1)に対する無限次元擬(g,K)‐加群
n次Lorentz群の構造
n次Lorentz群の基本的表現
3次元、4次元Lorentz群の場合
一般Lorentz群の標準(g,K)‐加群
指標の理論と計算(その1)
一般Lorentz群Lnの既約表現
指標の理論と計算(その2)
既約表現の分類と指標公式の応用
既約ユニタリ表現のU型Gelfand-Testlin公式の応用
付録 誇大妄想といくつかの予想
著者等紹介
平井武[ヒライタケシ]
1961年、京都大学大学院理学研究科修士課程修了。京都大学理学部数学教室にて、助手、講師、助教授、授業を経て、京都大学名誉教授、理学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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