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認知科学の探究
進化ゲームとその展開

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  • サイズ A5判/ページ数 310p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784320094390
  • NDC分類 461.9
  • Cコード C3011

出版社内容情報

●内容
 過去10年ほどの間に急速に展開を始めた「進化ゲーム」と呼ばれるゲーム理論の分析手法を、認知・行動科学への応用可能性を中心にさまざまな観点から論じたものである。「進化ゲーム」とは何か、無限の情報処理能力をもつ「超合理的な行為者」を仮定する古典的ゲーム理論とは異なり、もっと生物学的な着想をとる分析手法と大雑把に理解できよう。生物学的な進化と同じく、たとえ当の行為者の情報処理能力は限られていても、他と比べて相対的に役立つ認知・行動の仕方は存続しやすく、集団の中に広がりやすいという着想が進化ゲームの基本的な考え方である。本書は、「認知科学」Vol.6,No.2 の特集「ゲームと社会的相互交渉」をもとに編集した。

●目次
第1部 ゲーム理論の発展

第1章 ゲーム理論と進化ゲームがひらく新地平-多彩な学問分野を通底する新しい分析手法
1.1 「水が低きに流れるがごとく」―社会行動を貫く法則性
1.2 人間行動の理解とゲーム理論・進化ゲームー使用上のご注意
参考文献

第2章 ゲーム理論―認知研究への貢献
2.1 はじめに
2.2 ゲーム理論の基本概念
2.3 主観的ランダム化
2.4 戦略的思考
2.5 結論
参考文献

第3章 生物の適応と進化-包括適応度と進化的安定戦略
3.1 包括適応度と血縁淘汰
3.2 進化的に安定な戦略
3.3 性比理論
3.4 オスの配偶者ガード戦略
3.5 血縁者間の利害の対立
参考文献

第4章 社会秩序とゲーム論-弱肉強食の消費者契約からいかにして取引秩序が生まれるか
4.1 序―契約法制の基礎モデル
4.2 模倣による進化ダイナミクス
4.3 不完全な意思決定―適応マルコフ過程と確率的安定性
4.4 善良当事者,悪質当事者,愚直当事者―3タイプ・モデル
4.5 おわりに
参考文献

第5章 所有と分配-共同分配規範の社会的発生基盤に関する進化ゲーム分析
5.1 資源分配の重要性
5.2 生態人類学の知見―狩猟採集社会における分配
5.3 共同分配規範の進化ゲーム
5.4 規範の実行者 vs. フリーライダー
5.5 フリーライダー問題の解決は可能か
5.6 考察―規範の成立と仮説演繹装置としての進化ゲーム
参考文献

第6章 スパイト(嫌がらせ)行動とその進化ゲーム分析
6.1 はじめに
6.2 空間構造
6.3 基本モデル
6.4 フリーライダー的な振舞いをするコリシン耐性菌の導入
6.5 空間構造があると利他行動だけでなく他個体に損をさせる行動も進化する
6.6 おわりに
参考文献
補遺

第2部 進化ゲームの展開

第7章 行動生態学の展開
7.1 行動生態学の歩みとゲーム理論
7.2 闘争と評価の問題
7.3 「正直さ」の進化の問題
7.4 利他行動の問題
7.5 進化ゲーム理論と人間の理解
参考文献

第8章 進化心理学の展開
8.1 進化心理学とは何か
8.2 実証研究紹介
8.3 進化心理学的研究の留意点
参考文献

第9章 道徳起源論から進化倫理学へ
9.1 進化倫理学とは
9.2 ダーウィンの道徳起源論
9.3 ダニ取り鳥の行動戦略
9.4 社会性と知性を仮定すれば
9.5 行動生態学からの支持
9.6 道徳的とは
9.7 行為原則の必要性
9.8 道徳性と考察範囲の拡大
9.9 合理性―最大化か満足化か
9.10 コミットメント関係と信頼
9.11 合理性の間接的改善
参考文献

第10章 社会的交換と互酬性-なぜ人は1回限りの囚人ジレンマで協力するのか
10.1 社会的交換ヒューリスティックと裏切り者検知
10.2 実験の説明
10.3 実験結果の説明
10.4 考察
参考文献
 
第11章 子どもの仲間づくりの進化ゲーム論的分析
11.1 はじめに
11.2 11.2 事例研究
11.3 「仲間づくり」の進化ゲーム分析
参考文献

内容説明

本書は、過去10年ほどの間に急速に展開を始めた「進化ゲーム」とよばれるゲーム理論の分析手法を、認知・行動科学への応用可能性を中心にさまざまな観点から論じたものである。

目次

第1部 ゲーム理論の発展(ゲーム理論と進化ゲームがひらく新地平―多彩な学問分野を通底する新しい分析手法;ゲーム理論―認知研究への貢献;生物の適応と進化―包括適応度と進化的安定戦略;社会秩序とゲーム論―弱肉強食の消費者契約からいかにして取引秩序が生まれるか;所有と分配―共同分配規範の社会的発生基盤に関する進化ゲーム分析;スパイト(嫌がらせ)行動とその進化ゲーム分析)
第2部 進化ゲームの展開(行動生態学の展開;進化心理学の展開;道徳起源論から進化倫理学へ;社会的交換と互恵性―なぜ人は1回限りの囚人のジレンマで協力するのか;子どもの仲間づくりの進化ゲーム論的分析)

著者等紹介

佐伯胖[サエキユタカ]
1964年慶応義塾大学工学部管理工学科卒業。1970年米国ワシントン大学大学院心理学専攻博士課程修了(Ph.D.)。東京理科大学理工学部助教授、東京大学教育学部教授を経て、現在、青山学院大学文学部教育学科教授、同大学総合研究所所長

亀田達也[カメダタツヤ]
1982年東京大学文学部社会心理学専修課程卒業。1989年米国イリノイ大学大学院心理学専攻博士課程修了(Ph.D.)。東京大学文学部助手、東洋大学社会学部講師を経て、現在、北海道大学大学院文学研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。