出版社内容情報
●内容
 本書は急性病から慢性病,変性疾患という疾病構造の変化の中で,健康に関する20世紀後半の諸説や理論を鳥瞰したものである.その基本的なスタンスには,近代以降,健康を考える上で強い力をもってきた生物医学に対する批判があり,批判するにあたっては,社会学的なアプローチがとられている.社会モデルを用いて健康の多様な側面が捉えられ,健康の生成や病気の発生に社会的要因や行動的要因が強くかかわっているということだけでなく,健康と病気の概念の背景にある正常と異常の定義自体が社会的,文化的,歴史的に規定されたものであることが指摘される.
 そうした考察の延長線上で,健康が素人の考え,経験,行動とのかかわりで,さらには社会資本や危険社会などとのかかわりで捉えられているが,これらが豊富な経験的データに基づいて展開されていることが大きな特徴といえる. 
●目次
1 健康はどのように定義されるか 
・病気の欠如としての健康 
・常態としての病気 
・逸脱としての疾患 
・均衡または恒常性としての健康 
・機能としての健康 
・状態または状況としての健康 
・生物医学モデル 
・現代の生物医学 
・社会モデル 
・健康,疾患,病気,および病人役割 
・健康はどのように測定されるか 
2 健康はどのように構成されるか 
・社会的構成としての健康 
・歴史の構成 
・文化の構成 
・構成主義とフェミニズム 
・逸脱としての病気 
・相対主義批判 
3 健康はどのように経験されるか 
・素人の健康概念 
・素人の定義 
・健康の自己評価 
・健康と病気の原因についての考え 
・意味の探求 
・道徳的言説および隠喩としての健康 
・健康に対する責任 
・健康歴と健康資本 
・語りとしての病:健康と病気についての話 
・素人の概念と行動 
4 健康をめぐってどのような行動がなされるか 
・「病気行動」の興隆と衰退 
・人から患者へ:援助を求める行動 
・病む人としての役割を演じること 
・「健康的に」振る舞うこと 
・構造/主体:文化的な消費としての健康 
・構造/主体:自己管理としての健康 
5 健康は社会システムとどう関係するか 
・機能的関係 
・機能主義への反応 
・医療と社会 
・健康,経済発展,および社会組織 
・経済発展の負の側面 
・健康における不平等の概念 
・不平等の性質と程度 
・不平等の原因 
・社会生物学的解釈 
・新物質主義的説明 
・社会関係資本 
6 健康概念は現代世界においてどこへ行くのか 
・病気であることと病気でないことの境界の変化 
・生と死の境界の変化 
・自己と非自己の境界の変化 
・情報革命と患者の定義 
・脱近代的な世界における健康と病気 
・リスク社会 
・進化医学 
結 論
目次
第1章 健康はどのように定義されるか
第2章 健康はどのように構成されるか
第3章 健康はどのように経験されるか
第4章 健康をめぐってどのような行動がなされるか
第5章 健康は社会システムとどう関係するか
第6章 健康概念は現代社会においてどこへ行くのか
著者等紹介
渡辺義嗣[ワタナベヨシツグ]
大阪大学文学研究科修了。東北薬科大学哲学・倫理学教室教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。


 
               
               
               
              


