森林科学シリーズ<br> 森林と菌類

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森林科学シリーズ
森林と菌類

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  • サイズ A5判/ページ数 307p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784320058262
  • NDC分類 653.27
  • Cコード C3345

出版社内容情報

森林生態系において菌類は,分解者としてだけではなく,共生者,寄生者など様々な役割を果たす重要な生物群である。しかし,その存在が森林へ及ぼす影響や,森林変化が菌類に及ぼす影響については,十分に理解,認識されているとは言い難い。また,推定種数500万種以上とも言われる菌類は,その膨大な多様性と研究者の不足から,すでに生物多様性研究から取り残されつつある。こうした遅れを補いつつ,その先の菌類生態学の大系化へとつなげるためには,これまでの記載的な研究だけではなく,新しい方向性や技術を取り入れた,様々な生態学的研究の蓄積が急務となっている。本書は,その足掛かりとなるように,森林の変化が菌類にどのような影響を及ぼすのか,そしてどのような菌類が森林にどのような変化をもたらすのかを,森林変化の要因である森林利用,人為の影響,気候変動との関連から,具体的なデータや論文を引用しながら紐解いてゆく。本書は十分に大系化されたものではないため,教科書としての使用は推奨できない。しかし,これまでの菌類の教科書とは異なる視点でまとめおり,最終的には森林生態系を理解するための,菌類学と森林生態学との接点となることを期待している。

序章 森林と菌類(升屋勇人)
はじめに
0.1 菌類概説
  0.1.1 菌類の分類
  0.1.2 菌類の生理生態
  0.1.3 菌類の多様性
0.2 森林生態系と菌類
  0.2.1 菌類の生態系サービス・機能
  0.2.2 分解者としての菌類
  0.2.3 寄生者としての菌類
  0.2.4 共生者としての菌類
0.3 生物多様性における4つの変化要因
  0.3.1 オーバーユースとアンダーユース
  0.3.2 人によって持ち込まれたもの
  0.3.3 気候変動
おわりに:変化要因と菌類,ポジティブかネガティブか

【第1部 森林のオーバーユースやアンダーユースに関する話題】

第1章 森林利用による森林の変化と菌類(山下 聡)
はじめに
1.1 森林・枯死木・木材腐朽菌
  1.1.1 森林
  1.1.2 枯死木
  1.1.3 木材腐朽菌
1.2 木材腐朽菌類が供給する生態系サービス
  1.2.1 多様性と分解機能
  1.2.2 供給サービス
  1.2.3 文化的サービス
1.3 枯死木依存性菌類の調査方法
  1.3.1 子実体に基づいた調査
  1.3.2 分離培養
  1.3.3 分子生物学的手法の利用
1.4 木材腐朽菌類に関する生態学的知見
  1.4.1 概要
  1.4.2 生活史
  1.4.3 分散と定着
  1.4.4 枯死木の状態と菌類群集
  1.4.5 生物間相互作用
  1.4.6 空間スケール
1.5 森林利用の影響
  1.5.1 枯死木
  1.5.2 林分
  1.5.3 景観
  1.5.4 メタ解析による亜寒帯での人為活動の影響評価
  1.5.5 森林利用の影響?温帯から熱帯まで?
1.6 菌類多様性保全のための森林管理
  1.6.1 菌類の多様性保全へのアプローチ
  1.6.2 保全を念頭に置いた森林管理
おわりに


第2章 森林生息性菌類のレッドリスト(服部 力)
はじめに
2.1 菌類の絶滅
2.2 絶滅危惧とレッドリスト
2.3 レッドリストのカテゴリーと基準
  2.3.1 IUCN の基準
  2.3.2 レッドリストカテゴリー
  2.3.3 環境省レッドリストにおける評価基準
2.4 菌類の存続を脅かす要因
  2.4.1 菌類の存続を脅かす要因
  2.4.2 宿主・基質の減少
  2.4.3 依存環境の劣化・減少
  2.4.4 採集圧
  2.4.5 移入種・移入個体群の影響
  2.4.6 その他の要因
2.5 各地のレッドリスト
  2.5.1 日本の菌類レッドリスト
  2.5.2 都道府県の菌類レッドリスト
  2.5.3 IUCN の菌類レッドリスト
  2.5.4 海外の菌類レッドリスト
おわりに

第3章 森林利用と菌根菌(松田陽介)
はじめに
3.1 樹木根
  3.1.1 根系の分布
  3.1.2 細根
3.2 菌根の種類と関わる植物
  3.2.1 樹木に形成される菌根
  3.2.2 外生菌根
  3.2.3 アーバスキュラー菌根
3.3 様々な森林における菌根共生
  3.3.1 天然林,原生林の樹木に関わる菌根菌
  3.3.2 人工林の樹木に関わる菌根菌
3.4 菌根菌の利用
  3.4.1 木材生産
  3.4.2 特用林産物
おわりに

第4章 森林と樹木病害の関係(佐橋憲生・升屋勇人)
はじめに
4.1 樹木病害が森林に及ぼす影響
  4.1.1 樹木病害が森林に与える負の影響
  4.1.2 樹木病害が森林に与える正の影響
4.2 樹木病害と多様性
  4.2.1 多様性創出のドライバーとしての樹木病害
  4.2.2 菌害回避とJunzen-Connell 効果
  4.2.3 樹木病害が生物多様性に与える負の影響
4.3 森林利用が樹木病害に及ぼす影響
  4.3.1 森林利用で顕在化する樹木病害
  4.3.2 樹木病害を防ぐための森林利用
  4.3.3 景観と樹木病害
おわりに

【第2部 外来生物や環境影響物質に関する話題】

第5章 外来生物による森林の変化と菌類(升屋勇人)
はじめに
5.1 森林に影響を与える外来生物としての菌類
  5.1.1 樹木の侵入病原菌
  5.1.2 樹木の侵入病原菌が問題となる理由
  5.1.3 間接的に森林生態系に影響を与える侵入菌類
  5.1.4 樹木の侵入病原菌における侵入ルート
5.2 外来生物による森林変化と菌類への影響
  5.2.1 樹木の侵入病害による景観レベルでの変化
  5.2.2  菌類以外の外来生物の侵入が生態系と菌類に及ぼす影響
5.3 侵入病害と貿易
  5.3.1 侵入病害のリスクマネジメント
  5.3.2 日本における輸入項目の変化
  5.3.3 森林の生物安全保障の失敗と挑戦
おわりに

第6章 環境影響物質による森林植物と菌類への影響(山路恵子・春間俊克)
はじめに
6.1 重金属の植物・菌類への影響
  6.1.1 植物・菌類に対する重金属の毒性
  6.1.2 植物・菌類における重金属耐性
  6.1.3  重金属環境で生き抜くための知恵:植物と菌類の共生関係
  6.1.4 まとめ
6.2 酸性土壌環境におけるアルミニウムの植物・菌類への影響
  6.2.1 酸性土壌とアルミニウム
  6.2.2 植物・菌類に対するアルミニウムの毒性
  6.2.3 植物・菌類におけるアルミニウム耐性
  6.2.4 植物と菌類の共生関係によるアルミニウム耐性
  6.2.5 まとめ
6.3 放射性セシウムの影響
  6.3.1 放射線が菌類に与える影響
  6.3.2 放射性セシウムを蓄積する菌類
  6.3.3 植物-菌類共生系における放射性セシウムの移行
  6.3.4 まとめ
6.4 農薬の影響
  6.4.1 農薬とは
  6.4.2 土壌微生物への殺菌剤の影響
  6.4.3 まとめ
おわりに

【第3部 気候変動による森林の変化】

第7章 気候変動による森林の変化と菌類への影響(松岡俊将・大園享司)
はじめに
7.1 環境変化と菌類の応答
7.2 群集集合と環境要因・空間要因
  7.2.1 生物群集と群集集合
  7.2.2 群集集合における環境要因と空間要因の作用
  7.2.3 環境要因と空間要因の相対的重要性の解析方法
  7.2.4 菌類群集における分散制限と空間要因
7.3 菌類の環境変化への応答
  7.3.1 外生菌根菌
  7.3.2 内生菌
  7.3.3 分解菌
  7.3.4 土壌菌
7.4 樹木と菌類の環境応答の比較
  7.4.1 環境変化への樹木の応答
  7.4.2 樹木と菌類の環境応答の比較
おわりに

終章 森林と菌類:複雑な相互作用と将来展望(升屋勇人)
はじめに
8.1 菌類の歴史と森林
8.2 過去の大量絶滅と菌類
8.3 森林生態系4 つの変化要因と菌類
8.4 森林と菌類の関係解明における諸問題
  8.4.1 分類学的バイアス
  8.4.2 理論的バイアス
  8.4.3 技術的バイアス
おわりに:森林生態系の変化の指標としての菌類

索 引

升屋 勇人[マスヤ ハヤト]
編集

目次

森林と菌類
第1部 森林のオーバーユースやアンダーユースに関する話題(森林利用による森林の変化と菌類;森林生息性菌類のレッドリスト;森林利用と菌根菌;森林と樹木病害の関係)
第2部 外来生物や環境影響物質に関する話題(外来生物による森林の変化と菌類;環境影響物質による森林植物と菌類への影響)
第3部 気候変動による森林の変化(気候変動による森林の変化と菌類への影響)
森林と菌類:複雑な相互作用と将来展望

著者等紹介

升屋勇人[マスヤハヤト]
1999年筑波大学大学院農学研究科修了。現在、森林総合研究所きのこ・森林微生物研究領域微生物生態研究室室長。博士(農学)。専門、森林微生物機能解析学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。