出版社内容情報
●内容
生育場所の環境が生活に適していないからといって,その場所から逃げ出すことのできない植物は,自らの形を環境に適したものに変え生存を計っている.本書ではそのような生存のための戦略の機構について,細胞一個一個の形を決めている機構,細胞と細胞のつながりを決めている機構,植物ホルモンの挙動,役割などを中心に,細胞生物学的に,また植物生理学的に解説している.ミカヅキモ,アミミドロ,ヒョウタンゴケ,ホーライシダ,ウキクサ,タマネギ,ジャガイモ,ヒマワリなどなどの生活の様子が具体的に書かれているので,植物愛好家にとっても,読み物として楽しめる内容となっている.また,最新の文献も多く取り入れられているので,最前線で活躍している研究者にとっても十分に役立つものとなっている.
●目次
1章 細胞骨格
はじめに
1-細胞壁
2-微小管
A.細胞骨格としての微小管
B.細胞質表層微小管
C.細胞質分裂装置
3-アクチン繊維
まとめ
参考書・文献
2章 植物ホルモン
はじめに
1-オーキシン
2-ジベレリン
3-サイトカイニン
4-エチレン
5-アブシジン酸
6-ブラシノステロイド
7-ジャスモン酸およぴジャスモン酸関連化合物
まとめ
参考書・文献
3章 細胞分裂の分裂面制御
はじめに
1-細胞質分裂
2-前期前微小管束
3-フラグモソーム
4-核の位置決定
5-分裂面の制御
まとめ
参考書・文献
4章 細胞伸長と伸長方向の制御
はじめに
1-細胞壁のゆるみと細胞伸長
2-細胞伸長方向の制御
A.セルロース微繊維の並び方と微小管
B.植物ホルモンによる細胞伸長方向の制御
まとめ
参考書・文献
5章 細胞壁修飾を含む細胞分化
はじめに
1-管状要素
2-くぴれ,枝分かれのある葉肉細胞
3-排水構造の被覆組織細胞
4-葉の表皮細胞
5-輸送細胞
6-気孔孔辺細胞
まとめ
参考書・文献
6章 環境要因による形の制御
はじめに
1-光
A.芽生えの形
B.茎の伸長
C.姿勢制御(屈光性・向日性)
D.葉球形成
E.陽葉,陰葉
2-日長
A.花芽形成
B.花茎の伸長
C.タマネギの鱗茎形成
D.ジャガイモの塊茎形成
E.ダイコンの肥大生長
F.ウキクサの冬芽形成
G.サツマイモの塊根形成(付)
3-温度
A.花芽形成
B.鱗茎・球茎形成
C.昼夜の温度差と茎の伸長
D.昼夜の温度差と収縮根形成
4-重力
A.姿勢制御(屈地性;屈重力性)
B.あて材形成
C.ペグ(フット)形成
5-水条件・乾燥
A.沈水葉・気中葉転換
B.C3型C4型転換
C. 水中での伸長生長の促進
6-機械的刺激
A.茎の伸長
B.屈地性の喪失
C.休眠芽形成,落葉
D.巻ひげ運動
まとめ
参考書・文献
おわりに
用語解説
索引
目次
1章 細胞骨格
2章 植物ホルモン
3章 細胞分裂の分裂面制御
4章 細胞伸長と伸長方向の制御
5章 細胞壁修飾を含む細胞分化
6章 環境要因による形の制御
著者等紹介
柴岡弘郎[シバオカヒロオ]
1961年東京大学大学院生物系研究科修了。1961年東京大学理学部(附属植物園)助手。1974年東京都立大学理学部助教授。1981年大阪大学理学部教授。1996年同大学大学院理学研究科教授。1997年同大学退官。現在、大阪大学名誉教授・理学博士。専攻は植物生理学
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