出版社内容情報
【解説】
植物のもつ環境応答能力のすばらしさ,そのしくみ,その能力と,バイオテクノロジー技術を使って得られた遺伝子組換え植物が21世紀の地球生命圏の危機の救世主となりうるかを,それぞれの分野の専門家がやさしく解説したものである.一般の啓蒙書としてだけでなく,これから研究分野を決めようとしている学生諸君や,植物科学に関係している研究者,大学教官など,一読して「植物が未来を拓く」ことを実感することができよう.
【目次】
植物とバクテリアのコミュニケーション・作物に遺伝子を組み込む・植物病原菌の知恵に学ぶ次世代遺伝子導入法・光を感じる植物・植物にとっての昼と夜・重力を感じて植物が動く・寒さとたたかう植物たち・病原体とたたかう植物・植物に免疫をかける・ボディーガードを雇う植物・近未来環境下での高生産イネの作出に向けて・ファイトレメディエーション・未来型スーパー樹木の作出・優良樹木苗の大量生産
内容説明
「植物の環境応答機構とバイオテクノロジー」研究推進委員会では、地球生命圏の危機を救う植物のはたらきとその応用の研究を進めることとして、六つのプロジェクト(研究班)をおいた。二つのプロジェクトでは、植物が苛酷な環境に耐えるしくみを基礎的に研究するとともに、他の四つのプロジェクトでは、その成果を利用して、低温・高温・乾燥・塩性に耐える作物、ウイルス・バクテリア・カビ・害虫に強い作物、生産性の高い作物の作出や、有用な樹木や破壊された熱帯雨林を修復するための材木の種苗の大量生産を目指した先端的なバイオテクノロジーを使った応用科学に取り組むなど、過去六年間にわたって熱心に研究を続けてきた。本書は、その研究成果の一部をできるだけやさしく解説したものである。
目次
植物とアグロバクテリウムとのコミュニケーション
作物に遺伝子を組み込む
植物病原菌の知恵に学ぶ次世代遺伝子導入法
光を感じる植物
植物にとっての昼と夜―生物時計について
重力を感じて植物が動く
寒さと戦う植物たち
病原体と戦う植物
植物に免疫をかける
ボディーガードを雇う植物―植物の間接防衛戦略
近未来環境下での高生産イネの作出に向けて―高炭酸ガス環境へのルビスコの適量化
ファイトレディエーション―知られていない植物の環境修復能力
未来型スーパー樹木の作出
優良樹木苗の大量生産