出版社内容情報
【解説】
遺伝暗号(コドン)の解読の延長線上に,コドン捕獲説を完成させた世界的に著名な大澤博士のライフワークを綴った集大成ともいえる書の翻訳。
【目次】
遺伝暗号―歴史・普遍遺伝暗号の構造・アンチコドン組成他
内容説明
遺伝暗号はあらゆる生物にとって必須のものであり、生物学全体にとっても根本的に重要である。ごく最近までは、遺伝暗号にどのような変化がおきてもタンパク質のアミノ酸配列に広範囲な変化をひきおこすので、遺伝暗号はすべての生物にとって不変であり、“凍結”されていると考えられていた。哺乳動物ミトコンドリアの遺伝暗号は古い暗号の名残であるか、あるいはミトコンドリアのゲノムが小さいため(10個程度の遺伝子をもつだけ),暗号が変化してもミトコンドリアではたまたまそれが許容されるのではないかと考えられていた。1984年に名古屋大学の研究グループは、バクテリアの1種のマイコプラズマ(Mycoplasma)が変則的な暗号を使っていること、すなわち普遍暗号では終止コドンのUGAがトリプトファンとして読まれることを発見した。ほとんど同時期に仏、米、独の研究者がある種の原生動物(繊毛虫)がUAAとUAGコドンをグルタミン用に使っていることを発表した。これらの発見は、ミトコンドリアの変則暗号とともに、これまで凍結されていると考えられていた遺伝暗号が実際には進化の途上にあることを示したのである。そこで遺伝暗号のアミノ酸対応の変化を説明する新しい学説が必要になり、カリフォルニア大学バークレー校のトーマスH.ジュークス博士と著者は1989年にコドン捕獲説を提唱した。本書では、1982年から1992年の間に行なわれた遺伝暗号の進化に関する一連の研究をとくに強調してある。
目次
1 遺伝暗号―歴史
2 “普遍”遺伝暗号の構造
3 アンチコドン組成
4 コドン使用
5 非指定コドンまたはナンセンスコドン
6 進化する遺伝暗号
7 セレノシステインはUGAでコードされる
8 RNAエディティング
9 遺伝暗号の起源と初期進化
10 タンパク質のアミノ酸組成と遺伝暗号
11 エピローグ
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