出版社内容情報
「中生代」の年代層序・テクトニクス・環境変動・生物相・日本の地質を総合的に解説。「地球」の視点から生命史を総括する地質学・古生物学の教科書シリーズ第2弾!
中生代は海・陸とともに爬虫類が?栄し、生態系の頂点を極めたことから「爬虫類の時代」とも呼ばれる。超大陸パンゲアが分裂し、複数に分かれた大陸が再配列するとともに、大西洋やインド洋など、新たな海洋が誕生した時代でもある。このような大陸・海洋の再配列は、地球の大気-海洋循環を改変し、海洋・陸上の気候、環境そして生態系に大きな影響を与えた。一方で大陸の分裂に伴い、世界各地の陸上と海洋底で火山活動が活発化し大量の二酸化炭素を放出したため、地球史上最大規模の温暖化をもたらした。現在進行している温暖化が環境・生命にどのような影響を及ぼすのかを予測するうえで、中生代に複数回起きた超温暖化事変を読み解くことは非常に重要である。シリーズ地球生命史第4巻では、恐竜や魚竜などが出現・?栄した中生代の地球環境と生命史をとりあげる。
第1章では中生代を構成する3つの時代、三畳紀、ジュラ紀、白亜紀が何を基準に区分されどのように命名されてきたのかを解説する。第2章では中生代に起きたダイナミックな地球のテクトニクスと地球表層の環境や気候変動との関連性、これらに連動して生じた生物相の進化や大量絶滅事変などの最新の見解を解説する。第3章では中生代を特徴付ける生物を代表して、鳥を含む恐竜、アンモナイト、海生爬虫類、哺乳類、二枚貝、植物、微化石を扱う。中生代の生態系と生物進化を総合的に理解することができる。最終章では日本の中生代の地層・岩石・化石の概要について紹介する。地域ごとの地質の紹介だけでなく、中生代に起きた地球規模の環境変動や生物の進化、絶滅事変の解明に対して日本の地層の研究がどのように貢献したかについても解説している。
最新かつ多岐にわたる内容を体系的にまとめており、本書を読むことにより、現時点で明らかになっている中生代の地球のほぼすべての知見を得ることができる。初学者や他分野の研究者でも理解しやすいよう、カラーの地質図や模式図を独自に作成し、写真を含めて数多く盛り込んだ。
【目次】
1章 中生代の年代層序
2章 中生代のテクトニクスと古環境変動
3章 中生代の生物相
4章 日本の中生界の地質と化石