出版社内容情報
本書では、視覚について、化学的な観点から興味をひく現象や解析方法を中心に解説する。視覚研究の全貌に触れてもらうことを狙いとする。
我々は身の回りの環境情報を五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)により受容し、日常生活で利用している。視覚分野は、発色団の量子化学から神経ネットワークを含む広範な分野であり、さまざまな自然科学の分野と同様、物理学や化学の基本的な原理を利用した解析が進められている。一方、物理学や化学とは異なり、視覚を含む生物学の研究には、生物が歴史性を持つ(進化の産物である)ことも忘れてはならない。そこで本書ではまず、「視覚の成り立ち」を進化的な観点から概説する。続いて、分子レベルでの記述が可能な視覚現象として、視細胞の光応答メカニズムや、視物質の構造と光反応メカニズム、色覚のメカニズムなどを詳述する。さらには、網膜や脳での視覚情報処理についても解説する。
目次
第1章 視覚の成り立ち
第2章 眼と網膜
第3章 視細胞の光応答メカニズム
第4章 視物質
第5章 色覚のメカニズム
第6章 網膜での視覚情報処理
第7章 網膜から脳へ:視覚の情報処理
著者等紹介
七田芳則[シチダヨシノリ]
1979年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。現在、京都大学名誉教授、立命館大学総合科学技術研究機構客員教授、理学博士。専門:生物物理学・分子生理学
小島大輔[コジマダイスケ]
1995年京都大学大学院理学研究科博士後期課程(単位取得退学)。現在、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻准教授、博士(理学)。専門:光生物学・分子生理学・神経行動学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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