出版社内容情報
本書では過渡吸収測定として知られる時間分解電子スペクトル測定の原理や解析法、また応用例を概説する。現在では、安定な短パルスレーザー光源、また過渡吸収測定装置も市販されており、特に専門的知識や技術がなくても、比較的容易に測定を行うことが可能となっている。一方、過渡吸収測定のための励起パルスレーザーの出力は他の測定と比較して高出力の場合も多く、非線形光学過程や吸収の飽和などの留意する点も多い。本書では、これらの点についても言及している。時間分解計測手法を用いて研究を行っている方のみならず、これから応用を考えておられる多くの方々の参考になれば幸いである。
目次
第1章 パルス光を用いた時間分解測定:歴史と現状
第2章 過渡吸収測定の一般的原理と測定・解析法(過渡吸収測定の一般的な原理と励起光源;モニター光源と検出系;過渡吸光度とスペクトル;過渡吸収スペクトルの同定;過渡吸光度の励起光強度依存性;中間体のモル吸光係数の決定;データ解析法)
第3章 ナノ秒より長い時間領域の測定(ナノ秒より長い時間領域の過渡吸収測定装置;過渡吸収信号の測定手順;ナノ秒より長い時間領域の過渡吸収の測定例)
第4章 ピコ秒・フェムト秒時間領域の過渡吸収測定(ピコ秒・フェムト秒領域の過渡吸収測定装置;モニター光パルスと検出器;パルス白色光の群速度分散;過渡複屈折と過渡吸収二色性;電子状態緩和、振動緩和によるスペクトル変化;非共鳴同時2光子吸収による励起状態の生成;ピコ秒・フェムト秒時間領域の過渡吸収の測定例)
第5章 固体・粉末系の過渡吸収測定(拡散反射法による過渡吸収測定;顕微過渡吸収測定)
著者等紹介
宮坂博[ミヤサカヒロシ]
1985年大阪大学大学院基礎工学研究科化学系専攻博士後期課程修了。現在大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻教授、工学博士。専門光化学、物理化学
五月女光[ソウトメヒカル]
2015年東北大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了。現在大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻助教、博士(理学)。専門光化学、物理化学
石橋千英[イシバシユキヒデ]
2008年大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻博士後期課程修了。現在愛媛大学大学院理工学研究科物質生命工学専攻講師、博士(理学)。専門光化学、物理化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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