出版社内容情報
本書では生物活性天然有機分子がいかにして構築されてきたのか,歴史的に代表的な生物活性天然有機分子の合成とその進展を取り上げる。
第1章では,Woodwardによる数々の天然物全合成から,多数の不斉点をもつレセルピンの全合成を取り上げる。それらの不斉点をいかに完全に制御して, 立体選択的に合成したのか,といったWoodwardの考案した新しい概念(立体選択的合成)を学ぶ。
第2章では,現代の合成化学においては不可欠な,Coreyによる逆合成解析について概略を学び,いくつかの天然物合成例を紹介する。
第3章では,ストリキニーネを取り上げ,その全合成の変遷を眺めることによって,全合成という学問の歴史と進歩を俯瞰する。新反応の開発がいかに天然物の全合成に反映されているか,とくに20世紀後半に爆発的な進展をみせた有機金属反応がいかに天然物の全合成を変革させたのか,いくつかの例を紹介する。
第4章では,医薬品創製における天然物全合成の重要性について述べる。天然物合成の意義と重要性さらには面白さの一端を伝えたい。
序 章 天然有機分子構築の歴史
参考文献
第1章 レセルピンの全合成
参考文献
練習問題
第2章 逆合成解析と天然物合成
2.1 はじめに
2.2 1―フェニル 1―ブタノール1の逆合成解析
2.3 逆合成解析と合成:考え方と指針
2.4 天然物の逆合成解析と合成例
参考文献
練習問題
第3章 ストリキニーネ全合成の変遷
3.1 はじめに
3.2 Woodwardの全合成(1954年)
3.3 Magnusの全合成(1992年)
3.4 Overmanの不斉全合成(1993年)
3.5 Rawalらの全合成(1994年)
3.6 Kuehneらの全合成(1998年)
3.7 Bodwellらの全合成(2002年)
3.8 Vanderwalらの全合成(2011年)
3.9 Reissigらの全合成(2010年)
3.10 柴崎らの触媒的不斉全合成(2002年)
3.11 MacMillanらの有機分子触媒的不斉全合成(2011年)
参考文献
練習問題
第4章 天然物の全合成と医薬品開発への展開
4.1 ハリコンドリンB から新規抗がん薬エリブリン(ハラヴェン(R))の誕生
4.2 免疫抑制薬FK506の全合成とプローブ分子への展開
4.3 抗がん薬パクリタキセル(タキソール(R))の全合成
4.4 土壌菌から新規抗寄生虫薬イベルメクチンの誕生
練習問題解答
索引
コラム目次
1. レセルピンの絶対配置の決定
2. Robert Burns Woodward 口パート・パーンズ・ウッド ワード(1917?79)
3. Diels-Alder反応
4. Elias James Corey イライアス・ジ工イムズ・コーリ(1928?)
5. アカネ科薬用植物から単離されたトラマドールは天然物か? 合成品か?
6.“フ工アリーリング”の謎を化学で解く
7. 岸 義人教授
8. 海洋産アルカ口イド,パラウアミンの化学構造
9. アレルギー性気管支肺真菌症の原因物質は?
10. 大村 智教授(天然物化学者)
日本化学会[ニホンカガクカイ]
編集
中川 昌子[ナカガワ マサコ]
著・文・その他
有澤 光弘[アリサワ ミツヒロ]
著・文・その他
目次
序章 天然有機分子構築の歴史
第1章 レセルピンの全合成
第2章 逆合成解析と天然物合成(1‐フェニル1‐ブタノールの逆合成解析;逆合成解析と合成:考え方と指針;天然物の逆合成解析と合成例)
第3章 ストリキニーネ全合成の変遷(Woodwardらの全合成(1954年)
Magnusらの全合成(1992年)
Overmanらの不斉全合成(1993年) ほか)
第4章 天然物の全合成と医薬品開発への展開(ハリコンドリンBから新規抗がん薬エリブリン(ハラヴェン)の誕生
免疫抑制薬FK506の全合成とプローブ分子への展開
抗がん薬パクリタキセル(タキソール)の全合成 ほか)
著者等紹介
中川昌子[ナカガワマサコ]
1960年北海道大学大学院薬学研究科修士課程修了。千葉大学名誉教授、薬学博士。専門:有機化学、反応と合成、創薬化学
有澤光弘[アリサワミツヒロ]
1999年大阪大学大学院薬学研究科博士後期課程修了。大阪大学准教授、博士(薬学)。専門:有機合成化学、創薬化学、有機金属化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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