出版社内容情報
誘導結合プラズマ質量分析法 (ICP-MS) は,最も高感度な元素分析法であり,環境,エネルギー,ライフサイエンス,地球科学などの最先端の研究分野を開拓する分析法として利用されている。また,実用性に優れていることから,半導体,金属,高分子等の材料分析,環境中の有害元素分析,生体試料中の微量元素分析など,実社会のなかで広く利用されている。
最近では分析装置に試料をセットしてボタンを押せば結果が得られるなど,分析装置のブラックボックス化が進んでいるが,一方で,得られた結果を盲目的に信ずるのではなく,その値の正しさを判断する能力を培っておくことが重要となっている。本書は,これに必要な基礎知識として,ICP-MSの原理と装置構成,分析の干渉の原因と補正方法,超高感度であるがゆえに重要な分析操作時の汚染防止,高精度分析を実現するための同位体希釈法を詳しく,かつ分かりやすく解説したものである。特に,分析装置に関しては,コリジョン・リアクションセル技術に加え,最新の技術であるタンデム型の四重極質量分析計について解説した初の成書である。
本書を特徴づけるもう一つの点は,化学形態別分析(スペシエーション)や局所分析(イメージング)など,単なる元素分析で得られる情報量以上の情報を得る手段として,クロマトグラフやレーザーアブレーション法などとICP-MSを組み合わせた複合分析法を,従来よりもページを割いて紹介した点である。さらに,もう一つの特徴は,応用分析例をできるだけ最新のものとしてノウハウも含めて紹介することにより,実際の分析業務に携わる人にとって有用な情報を提供している点にある。
Chapter1:ICP-MSの原理と装置構成
Chapter2:干渉の種類と補正法
Chapter3:微量分析のためのコンタミネーション防止
Chapter4:ICP-MSの複合分析装置
Chapter5:同位体希釈質量分析法
Chapter6:ICP-MSの実試料への応用
目次
1 ICP‐MSの原理と装置構成
2 干渉の種類と補正法
3 微量分析のためのコンタミネーション防止
4 ICP‐MSの複合分析装置
5 同位体希釈質量分析法
6 ICP‐MSの実試料への応用
著者等紹介
田尾博明[タオヒロアキ]
1982年東京大学大学院理学系研究科化学専攻修士課程修了。現在、国立研究開発法人産業技術総合研究所四国センター所長・理学博士。専門は分析化学
飯田豊[イイダユタカ]
1988年早稲田大学大学院理工学研究科資源及び原料工学専攻修士課程修了。現在、株式会社東レリサーチセンター東京営業第2部長。専門は無機分析化学
稲垣和三[イナガキカズミ]
2000年名古屋大学大学院工学研究科応用化学専攻博士課程後期課程修了。現在、国立研究開発法人産業技術総合研究所物質計測標準研究部門環境標準研究グループグループリーダー・博士(工学)。専門は無機分析化学
高橋純一[タカハシジュンイチ]
1981年東京大学大学院理学系研究科化学専攻博士課程修了・理学博士。2014年アジレントテクノロジーインターナショナル株式会社退職。現在、フリー。専門は無機分析化学(原子スペクトル分析)
中里哲也[ナカザトテツヤ]
1996年九州大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了。現在、国立研究開発法人産業技術総合研究所環境管理研究部門環境計測技術研究グループ主任研究員・博士(理学)。専門は分析化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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