基本法則から読み解く物理学最前線<br> 不安定核の物理―中性子ハロー・魔法数異常から中性子星まで

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基本法則から読み解く物理学最前線
不安定核の物理―中性子ハロー・魔法数異常から中性子星まで

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  • サイズ A5判/ページ数 181p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784320035287
  • NDC分類 429.5
  • Cコード C3342

出版社内容情報

我々自身や,我々をとりまく物質は,どうやって生まれてきたのであろうか。 この疑問を解く1つの鍵が原子核であり,その中でも最近とりわけ注目されているのが本書のテーマ「不安定核」である。 不安定核とは,身近にある安定核に比べ,中性子数が陽子数よりも多い(少ない)ため,寿命が短く,天然には存在しない原子核のことである。 多くの不安定核は,超新星爆発や中性子星合体などの宇宙における高エネルギー天体現象において瞬間的に存在したと考えられていて,我々の世界の多様な物質を作る1つの要因になったとされる。
 最近,中性子と陽子の数をコントロールして不安定核を効率よく加速器で生成する技術が進み,その研究は新たな局面を迎えつつある。 特に,さまざまな不安定核ビームの実験によって「中性子ハロー」や「魔法数異常」のような,安定核には見られない特異構造の理解が進んできた。 中性子ハローとは,数個の中性子が,通常の原子核密度をもつ固いコアを取り巻くように,非常に希薄な密度で大きく拡がっている状態のことである。 巨大な半径や,ハローとコアの二重構造など,安定核にはない性質を持っている。 一方,原子核には殻構造があり,中性子数,陽子数が「魔法数」(2,8,20,28,50,82,126)のとき,原子核は特に安定になるとされてきた。 魔法数は不安定核にも普遍的に存在すると考えられていたが,ある種の不安定核では消失し,一方,別の不安定核には新魔法数が出現するという魔法数の異常が見いだされ,その研究が進んでいる。こうした不安定核特有の性質は元素合成過程にも大きな影響を及ぼすと考えられている。
 本書は,不安定核物理を理解するための入門書である。 原子核物理の知識がなくても文字通り基本法則から読めるように配慮した。中性子ハローと魔法数の異常(消失と出現)については,それぞれ章を設けて,最新の研究の状況を紹介した。 また,宇宙物理との関連では中性子星物質に関する章を設けた。 この章は「中性子星核物理入門」とでも言うべき内容になっている。それぞれの章はある程度独立しているので,読者の関心や背景知識に応じて選んで読むこともできるようになっている。

第1章 はじめに:原子核,不安定核,そして宇宙

第2章 原子核の限界
2.1 安定核と不安定核
2.2 原子核の質量 ― 原子核の安定性
  2.2.1 結合エネルギーとその飽和性
  2.2.2 原子核の質量公式
  2.2.3 安定性で見る安定核と不安定核
  2.2.4 ドリップライン
2.3 原子核はどうしてN=Zを好むのか ― フェルミガス模型
  2.3.1 原子核のフェルミガス模型
  2.3.2 フェルミガス模型による対称エネルギーの導出
2.4 原子核はどうしてN=Zを好むのか ― 核力
  2.4.1 2核子系
  2.4.2 中心力とテンソル力
  2.4.3 核力と不安定核

第3章 不安定核を作る
3.1 不安定核生成反応1:核破砕反応
  3.1.1 核破砕反応の描像
  3.1.2 入射エネルギーと核破砕反応の起こる条件
  3.1.3 核破砕片の運動量分布
3.2 不安定核生成反応2:核分裂反応
  3.2.1 誘発核分裂反応
  3.2.2 クーロン核分裂反応
3.3 インフライト型不安定核分離装置
  3.3.1 インフライト型不安定核分離装置の原理
  3.3.2 インフライト型不安定核分離装置の特徴
  3.3.3 インフライト型不安定核分離装置を用いた不安定核ビーム施設
3.4 オンライン同位体分離装置
  3.4.1 オンライン同位体分離装置の原理
  3.4.2 オンライン同位体分離装置の特徴
  3.4.3 オンライン同位体分離装置を用いた不安定核ビーム施設
  3.4.4 次世代型低速RIビーム

第4章 中性子ハロー
4.1 中性子ハローの発見
  4.1.1 相互作用断面積と異常な半径
  4.1.2 ハンセンとヨンソンによる推論 ― 中性子ハロー
  4.1.3 コア核の運動量分布と中性子ハロー
4.2 ハロー構造の基本 ― 1中性子ハロー核
  4.2.1 1粒子模型による1中性子ハロー核
  4.2.2 殻構造と1 中性子ハロー
  4.2.3 1中性子ハロー核の一粒子軌道
4.3 ハロー構造の基本 ― 2中性子ハロー核
  4.3.1 2中性子ハロー核の特徴 ― ダイニュートロン相関の可能性
  4.3.2 2中性子ハロー核の軌道混合とダイニュートロン相関
4.4 クーロン分解反応とソフト双極子励起
  4.4.1 巨大双極子共鳴とソフト双極子共鳴
  4.4.2 クーロン分解反応
  4.4.3 ソフト双極子励起のメカニズム
  4.4.4 ソフト双極子励起の直接分解反応モデル
  4.4.5 ソフト双極子励起による核分光と天体核反応への応用
  4.4.6 2中性子ハロー核のソフト双極子励起
  4.4.7 11Li におけるsp混合の起源
4.5 中性子ハロー核の描像と今後の展開

第5章 不安定核の殻進化 ― 魔法数の消失と出現
5.1 逆転の島の発見と魔法数N=20 の破れ
  5.1.1 質量の異常
  5.1.2 殻構造の異常と逆転の島
  5.1.3 インビーム 線核分光法の登場 ― 32Mg のクーロン励起
5.2 逆転の島 ― 研究の展開
  5.2.1 核破砕反応を用いたインビーム 線核分光法
  5.2.2 逆転の島 ― 最近の実験的研究
  5.2.3 新魔法数 N=16とドリップラインの異常
5.3 逆転の島現象のメカニズム
  5.3.1 大規模殻模型計算による殻進化の理解
  5.3.2 弱束縛(ハロー)効果
  5.3.3 ニルソン模型による逆転の島の描像
  5.3.4 逆転の島現象は理解されたのか
5.4 殻進化の研究 ― 研究の展開

第6章 中性子過剰核で探る中性子星
6.1 核物質の状態方程式
6.2 中性子星
  6.2.1 中性子星の構造
  6.2.2 簡単な模型で見た中性子星
  6.2.3 中性子星の観測
  6.2.4 中性子星と核物質の状態方程式
6.3 中性子スキン核
  6.3.1 中性子スキンの測定
  6.3.2 中性子スキンの形成と状態方程式
  6.3.3 中性子スキン核のピグミー共鳴
6.4 中性子スキン核と状態方程式 ― 研究の展開
  6.4.1 安定核の電気双極子応答と中性子スキン
  6.4.2 核物質の状態方程式と今後の展開

第7章 結び ― 不安定核物理の展望

目次

第1章 はじめに:原子核、不安定核、そして宇宙
第2章 原子核の限界
第3章 不安定核を作る
第4章 中性子ハロー
第5章 不安定核の殻進化―魔法数の消失と出現
第6章 中性子過剰核で探る中性子星
第7章 結び―不安定核物理の展望

著者等紹介

中村隆司[ナカムラタカシ]
1993年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程単位取得退学。理化学研究所基礎科学特別研究員。1995年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻助手。1996年博士(理学)(東京大学)。1998年ミシガン州立大学超伝導サイクロトロン研究所客員研究員(兼任)。2000年東京工業大学大学院理工学研究科基礎物理学専攻助教授。2007年東京工業大学大学院理工学研究科基礎物理学専攻准教授。2008‐現在、東京工業大学大学院理工学研究科基礎物理学専攻教授。専門は原子核物理学実験(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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mft

2
調べたいことが山ほどあって楽しそう2016/11/18

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