内容説明
現時点ではそのアプローチが未だ確立しているといえない生命現象は、複雑系科学の典型的な対象であり、その「複雑さ」の解明においては従来の物理学的手法をこえたアイデアが要求されるであろう。その一方で、20世紀に登場し大きな進展を見せた量子力学や相対性理論(重力理論)は、実験や観測的証拠も十分に存在し、理論としては完成しているかに見える。しかしながら、21世紀になってさらに新しい展開を見せているということも事実である。本書ではそれらの新しい観点から、「早稲田大学複雑系高等学術研究所」の周辺で活躍されている方たちに、これまでにわかったことをまとめる教科書的な書き方ではなく、これからの新しい展開が見えるようにそれぞれの思うところを執筆いただいた。これまでの複雑系科学とはひと味違った個性豊かな「著作集」をお楽しみいただきたい。
目次
ルールダイナミクスの世界―ルールダイナミクスから進化のダイナミクスへ向けて(ルールダイナミクス;進化のダイナミクスへ向けて)
量子カオスの根本問題と実験による新展開(半古典理論;さまざまな分野へと広がり行く量子カオス ほか)
量子揺らぎ(標準的量子力学―正準形式の量子力学;経路積分法 ほか)
だれがアンドロメダ銀河を見たか?―構造を作る量子力学(量子論とミクロ‐マクロ階層構造;量子論らしさ ほか)
法則の普遍性と宇宙論(プロローグ:法則の普遍性とは;科学としての宇宙:ビッグバン宇宙論 ほか)