リスクマネジメントの本質

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  • サイズ A5判/ページ数 396p/高さ 23cm
  • 商品コード 9784320018662
  • NDC分類 338
  • Cコード C3041

出版社内容情報

●内容
 リスクマネジメントは,もはやその道のスペシャリストのみに限られたものではない。従業員から投資家に至るステークホルダーは,リスクと潜在的リターンのトレードオフをいかに数量化するかを理解しなければならない。リスクの根本的な性質を理解していないと,壊滅的な結末を招きかねないのである。
 世界中にその名を知られるリスクとコーポレートガバナンスの専門家である,ミシェル・クルーイ,ダン・ガライ,ロバート・マークは,ベストセラーとなった自らの集大成である著書『リスクマネジメント』を更新して改編し,難解な公式や数学的専門知識を必要とすることなく,リスクマネジメントの世界へと読者を誘う。
 本書は,リスク管理の専門家,非専門家の双方に,最も洗練されたリスクマネジメント手法を入手可能とした最初の文献である。この本では,以下のことが学べる。

●株主,従業員,規制当局,そしてその他の重要な関係者を満足させるべく,リスク管理プログラムの透明性を高める。
●ベストプラクティスなリスクポリシー,手法,関連するリスクインフラの絶え間ない発展にキャッチアップする。
●市場リスク,信用リスク,流動性リスク,オペレーショナルリスク,法的・規制リスク,ビジネスリスク,戦略リスク,風評リスクを含んだ組織全体にわたるERM手法を実践し,効率的に社内に浸透させる。
●リスクポリシー,手法,経済資本,規制資本,業績評価,資産負債管理などを含む複雑な分野の舵取りをする。
●新世代のリスク規制,コーポレートガバナンス規制に対応するため,限られた企業リソースを効率的に割り当てる。

 リスク管理を専門としない職に就くもの,あるいは役員会のメンバーは,公式なリスク管理プロセスにおいて重要な役割を果たすのみならず,自分の組織のリスクエクスポージャーについて洗練された評価を行うことがかつてないほど求められるようになっている。本書はこの厳しく新しい環境において,何を知っておくべきなのかを的確に伝えるものである。
[原著 Michel Crouhy, Dan Galai, Robert Mark: The Essentials of Risk Management, McGraw-Hill, 2006]

●目次
第1章 リスク管理の鳥瞰図
1.1 リスクとは何か
1.2 リスクと報酬の相反
1.3 名付けることの危険性
1.4 数量化にも存在する危険性
1.5 リスクマネージャーの仕事
1.6 リスク管理の学習曲線
1.7 過去と将来――本書の使命
1A.1 市場リスク
1A.2 信用リスク
1A.3 流動性リスク
1A.4 オペレーショナルリスク
1A.5 法務・規制リスク
1A.6 ビジネスリスク
1A.7 戦略リスク
1A.8 風評リスク
第2章 企業におけるリスク管理入門
2.1 なぜ理論的にはリスクを管理すべきでないのか
2.2 実務でリスクを管理する理由
2.3 業務のヘッジ対金融ポジションのヘッジ
2.4 リスク管理の実行
第3章 銀行と規制当局──リスク管理の実験場
3.1 銀行規制とリスク管理
3.2 銀行資本管理の標準化への圧力
3.3 1988年バーゼル合意
3.4 銀行の市場リスクの拡大と1996年市場リスク修正合意
3.5 グループオブサーティ(G-30) からの政策提言
3.6 1996年市場リスク修正合意(BIS98)
3.7 バーゼル1988年合意の変更が必要な理由
3.8 バーゼルII──銀行業務の革命となるか
3.9 第1の柱:信用リスクに対する最低所用自己資本――詳解
3.10 第2の柱:監督上の検証プロセス
3.11 第3の柱:市場規律
3.12 まとめ
第4章 コーポレートガバナンスとリスク管理
4.1 背景説明──コーポレートガバナンスとリスク管理
4.2 本来のリスクガバナンス
4.3 委員会とリスクリミット──概観
4.4 伝統的なメカニズム──取締役会における監査委員会の特別な役割
4.5 新しいメカニズム──管理リスク顧問役員の役割進展
4.6 取締役会におけるリスク管理委員会の特別な役割
4.7 実務上の役割と責任
4.8 リミットとリミット設定の基準
4.9 リスクモニタリング基準
4.10 監査機能の役割とは何か
4.11 結論:成功へのステップ
第5章 リスクとリターンの理論に対するユーザー向けガイド
5.1 ハリー・マーコヴィッツとポートフォリオ選択
5.2 資本資産評価モデル(CAPM)
5.3 オプション価格評価の方法
5.4 モジリアニとミラー(M&M)
5.5 結論
第6章 金利リスクとデリバティブによるヘッジ
6.1 金利リスク上昇の構造
6.2 債券価格と最終利回り
6.3 リスクファクターの感応度アプローチ
6.4 様々な証券のポートフォリオ
6.5 金利リスクのヘッジのための証券
6.6 フィナンシャルエンジニアリング
第7章 バリューアットリスクからストレステストまで
7.1 名目額アプローチ
7.2 デリバティブの価格感応度指標
7.3 バリューアットリスクの定義
7.4 どのようにしてVaRを実務的なリスク制限に用いるか?
7.5 VaR計測のための分布をどのように生成させるのか?
7.6 ストレステストとシナリオ分析
7.7 主要なリスクの要約──VaRとストレステスト
第8章 資産負債管理
8.1 金利リスクと流動性リスク
8.2 ALM 委員会(ALCO)
8.3 ギャップ分析
8.4 アーニングアットリスク
8.5 デュレーションギャップアプローチ
8.6 長期VaR
8.7 流動性リスクの測定
8.8 資金移転価格
第9章 クレジットスコアリングとリテール信用リスク管理
9.1 リテール信用リスクの性質
9.2 クレジットスコアリング──低コスト,一貫性,より優れた信用評価のために
9.3 どのようなクレジットスコアリングモデルが存在しているか
9.4 カットオフスコアからデフォルト確率および損失率まで
9.5 スコアカードのパフォーマンス測定とモニタリング
9.6 デフォルトリスクから顧客価値まで
9.7 新しい規制アプローチ
9.8 消費者ローンの証券化とリスク移転
9.9 リスクに応じたプライシング
9.10 戦術的,戦略的なリテール顧客の獲得
9.11 結論
第10章 商業向け信用リスクと個々の信用格付
10.1 格付機関:外部格付付与プロセス
10.2 債務格付と格付推移
10.3 内部リスク格付とは
10.4 財務評価(ステップ1)
10.5 債務者格付の調整ファクター
10.6 デフォルト時損失格付(LGDR)
10.7 結論
第11章 信用リスク計測のための新しい手法
11.1 信用リスクのモデリングがいかに重要で,かつ難しいものであるのはなぜか
11.2 ポートフォリオの信用リスクを変動させる要因は何か
11.3 ポートフォリオの信用リスクの推定──概観
11.4 CreditMetricsと信用リスクの遷移アプローチ
11.5 信用リスクを計測するための条件付き請求権または構造アプローチ
11.6 クレジットポートフォリオの評価
11.7 信用リスク計測のための保険数理的アプローチおよび縮約型アプローチ
11.8 ハイブリッド構造モデル
11.9 結論
第12章 信用リスク移転の新手法とその影響
12.1 なぜ新しい手法と商品は革新的であるのか
12.2 クレジットマーケットが銀行に変革をもたらす
12.3 銀行の与信機能はどのように変化しているのか
12.4 ローンポートフォリオマネジメント
12.5 クレジットデリバティブの概要
12.6 クレジットデリバティブの最終利用者における利用例
12.7 クレジットデリバティブの種類
12.8 結論
第13章 オペレーショナルリスク
13.1 銀行のオペレーショナルリスク管理における8つの主要要素
13.2 オペレーショナル損失をいかに定義し,分類するか
13.3 どの種類のオペレーショナルリスクに,オペレーショナルリスク
資本が必要か
13.4 オペレーショナルリスクVaR
13.5 キーリスクドライバーの役割
13.6 オペレーショナルリスクの削減
13.7 オペレーショナルリスクに対する保険
13.8 結論
第14章 モデルリスク
14.1 モデルリスクはどのくらい広範囲な問題なのか
14.2 モデルリスクをいかに軽減するか
14.3 LTCMとモデルリスク:流動性危機においていかにヘッジが機能しなくなるか
14.4 結論
第15章 リスク資本の配賦ならびにリスク調整後業績評価
15.1 リスク資本の目的
15.2 リスク資本量の普及
15.3 RAROC──リスク調整後資本収益率
15.4 実務におけるRAROC
15.5 結論
エピローグ リスクマネジメントのトレンド
1. 国家のリスク管理
2. リスク管理における銀行と他の金融機関の差
3. リスク管理と年金
4. リスクの透明性
5. リスク管理教育
6. リスク管理手法とリスク言語の標準化
7. リスク指標の統合
8. オペレーショナルリスクの移転市場
9. バーゼルIIの市場に対する影響と市場のバーゼルIIへの影響
10. インフラストラクチャー

目次

リスク管理の鳥瞰図
企業におけるリスク管理入門
銀行と規制当局―リスク管理の実験場
コーポレートガバナンスとリスク管理
リスクとリターンの理論に対するユーザー向けガイド
金利リスクとデリバティブによるヘッジ
バリューアットリスクからストレステストまで
資産負債管理
クレジットスコアリングとリテール信用リスク管理
商業向け信用リスクと個々の信用格付
信用リスク計測のための新しい手法
信用リスク移転の新手法とその影響
オペレーショナルリスク
モデルリスク
リスク資本の配賦ならびにリスク調整後業績評価
リスクマネジメントのトレンド

著者等紹介

クルーイ,ミシェル[クルーイ,ミシェル][Crouhy,Michel]
フランス国民貯蓄金庫グループのイクシス証券会社で研究開発、金融工学部門を率いており、トレーディングおよびストラクチャリング業務を支援する新商品とアプリケーションにかかわるすべての数量的研究開発を全社的に統括している。前職はカナダインペリアルバンクオブコマース(CIBC)の財務・バランスシート・リスク管理部のビジネスアナリティックソリューションズグループのシニアヴァイスプレジデントであった。前職での責任分野は、すべてのプライシングモデル・バランスシートモデル・リスクモデル・資本関連モデルの承認、市場リスク、(リテール向けおよび商業向け双方の)信用リスク計測手法の開発と経済自己資本配賦、顧客行動分析に及ぶ。CIBCの前は、パリのHEC経営大学院のファイナンスの教授であり、国際金融の修士課程のディレクターも務めていた。またウォートンスクールやカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)において客員教授も務めたこともある。ウォートンスクールで博士号を、モントリオール大学で名誉博士号を取得している

ガライ,ダン[ガライ,ダン][Galai,Dan]
エルサレムのヘブライ大学の経営大学校におけるファイナンス、経営学科のAbe Gray Professorである。インシアード大学(INSEAD)とUCLAのファイナンスの客員教授も務め、シカゴ大学、カリフォルニア大学バークレー校でも教鞭を取った。シカゴ大学で博士号を取得し、ヘブライ大学で学士、修士号を取得している。主要銀行やシカゴオプション取引所(CBOE)、アメリカン証券取引所の顧問も務め、取引可能なインデックスオプションの価格に基づくボラティリティインデックスを共同開発した。オプション、金融資産、そしてコーポレートファイナンスについての論文を、主要な経営、ファイナンス学術誌において多数発表し、いくつかの学術誌の編集委員も務めている。優れたオプション理論研究に対してCBOEから与えられる第1回Pomeranze賞を受賞している。現在は、ポートフォリオマネジメントおよびコーポレートファイナンスを専門とするシグマPCM社の社長を務める。この会社で彼は、金融機関・非銀行系金融会社相手にリスク管理のコンサルティングを行っている。また、世界中の選ばれたアーティストに、年金に似たサービスを提供する金融サービス会社であるミューチュアルアート社の共同創始者でもある

マーク,ロバート[マーク,ロバート][Mark,Robert]
コーポレートガバナンス、リスク管理コンサルティング、トランザクションサービスを提供するブラックダイアモンド社の最高経営責任者(CEO)である。いくつかの会社の理事も務め、様々な種類の上級職を歴任してきた。世界リスク管理専門家協会(GARP)からFinancial Risk Manager of the Yearを贈られたこともある。PRMIA(Professional Risk Managers’ International Associations)の理事を務め、PRMIAの有識者会議(Blue Ribbon Panel)の議長でもあるほか、ISDAの理事やNALMA(National Asset/Liability Management Association)の議長も歴任している。前職はCIBCのシニアエグゼクティブヴァイスプレジデントおよび最高リスク管理責任者(CRO)であり、経営委員会のメンバーでもあった。マーク博士は、支店まで含めた全CIBCの信用リスク、市場リスク、オペレーショナルリスクの統括責任者であった。CRO職に就く前は、CIBCで財務担当をしていた。CIBCの前はクーパース&ライブランド(C&L)でファイナンシャルリスクマネジメントのコンサルティングに従事するパートナーであった

三浦良造[ミウラリョウゾウ]
一橋大学大学院国際企業戦略研究科(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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disktnk

0
過去の反省やバーゼルIIでの定義を頻繁に挟みながら,リスクの定義・分類,組織作り,商品・ヘッジ・プライシングまで幅広く要点を押さえたリスクマネジメントのエッセンス本.実際のリスク業務に必要とされる知識が整理されていた.原書は2006年刊行でありそれ以降に起こった信用危機については反映されていないが,サブプライムのメリットと合わせて危険性についても言及されているのは興味深い.2012/06/10

kona

0
金融リスクマネジメントに関する本。金融の実務家であり博士が著者であるため、理論と実務的な観点のバランスに優れている。サブプライム前に書かれた内容であるが、クレジットデリバティブに関する健全な批判がなされており、その内容は今も古びていない。2011/05/10

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