出版社内容情報
●内容
適切な定量的リスクモデルを実装することは,すべての金融機関にとって極めて重要な関心事であり,バーゼルIIのような規制プロセスとともに,この傾向は近年加速してきている。本書は,定量的リスク管理における理論的概念とモデリング技法を包括的に扱っており,読者は,金融リスク・アナリスト,アクチュアリー,規制当局者,定量的ファイナンスを学ぶ学生のどれに該当するにしても,現実世界の問題を解決するための実践的道具を身につけることができる。著者らは市場リスク,信用リスク,オペレーショナルリスクのモデリング手法を取り上げ,業界標準のアプローチをより正式な土台の上に載せる。さらに,現在の実務の主な欠陥,そして現在の実務を越える最近の進展について説明する。
本書の方法論は,数理ファイナンスから統計学,そして計量経済学や保険数学といった,様々な定量的研究分野に依っている。扱われている主要な概念としては,損失分布,リスク尺度,リスクの総計,そして配分原理が挙げられる。全体にわたるテーマの1つは,極端な結果や鍵となるリスク因子間の従属性に十分に取り組む必要性である。そのために必須の技法は,多変量統計解析,金融時系列モデリング,接合関数,そして極値理論から派生するものである。また,クレジット・デリバティブを扱う,より技術的な章もある。
修士課程の学生や金融業界の専門家を対象とした講義に基づく本書『定量的リスク管理』は,この分野のスタンダードとなること間違いなしの,類のない基本文献である。
●目次
第1章 リスクの全体像
1.1 リスク
1.2 リスク管理の手短な歴史
1.3 新しい規制監督上の枠組み
1.4 なぜ金融リスクを管理するのか?
1.5 定量的リスク管理
第2章 リスク管理の基礎概念
2.1 リスク因子と損失分布
2.2 リスク計測
2.3 市場リスク計測の標準的方法
第3章 多変量モデル
3.1 多変量モデリングの基礎
3.2 正規混合分布
3.3 球型・楕円型分布
3.4 次元縮小法
第4章 金融時系列
4.1 金融時系列の実証的分析
4.2 時系列解析の基礎
4.3 時変ボラティリティに対するGARCHモデル
4.4 ボラティリティモデルとリスク推定
4.5 多変量時系列の基礎
4.6 多変量GARCH過程
第5章 接合関数と従属性
5.1 接合関数
5.2 従属性尺度
5.3 正規混合接合関数
5.4 アルキメデス型接合関数
5.5 接合関数のデータへの当てはめ
第6章 総計リスク
6.1 整合的リスク尺度
6.2 総計リスクに対する限界値
6.3 資本配分
第7章 極値理論
7.1 最大値
7.2 閾値超過
7.3 具体的なモデルの裾
7.4 点過程モデル
7.5 多変量最大値
7.6 多変量閾値超過
第8章 信用リスク管理
8.1 信用リスクモデル構築への入門
8.2 デフォルトの構造型モデル
8.3 閾値モデル
8.4 混合モデルによるアプローチ
8.5 モンテカルロ法
8.6 混合モデルに対する統計的推測
第9章 信用リスクの動的モデルとクレジット・デリバティブ
9.1 クレジット・デリバティブ
9.2 数学的ツール
9.3 信用リスクのファイナンス理論による価格付けと保険数理的な価格付け
9.4 2重確率的なデフォルト時刻による価格付け
9.5 アフィンモデル
9.6 条件付き独立デフォルト
9.7 接合関数モデル
9.8 縮約型モデルにおける連鎖デフォルト
第10章 オペレーショナルリスクと保険解析
10.1 オペレーショナルリスクの全体像
10.2 保険解析の基礎
付録A
A.1 種々の定義と結果
A.2 確率分布
A.3 尤度推測
参考文献
索引
内容説明
本書は、定量的リスク管理における理論的概念とモデリング技法を包括的に扱っており、現実世界の問題を適切に解決するための実践的道具を身につけることができる。金融リスク・アナリスト、アクチュアリー、規制当局者、定量的ファイナンスを学ぶ学生等の誰にとっても役立つはずである。この分野のスタンダードとなること間違いなしの、類のない解説書である。
目次
第1章 リスクの全体像
第2章 リスク管理の基礎概念
第3章 多変量モデル
第4章 金融時系列
第5章 接合関数と従属性
第6章 総計リスク
第7章 極値理論
第8章 信用リスク管理
第9章 信用リスクの動的モデルとクレジット・デリバティブ
第10章 オペレーショナルリスクと保険解析
付録A
著者等紹介
マクニール,アレクサンダー・J.[マクニール,アレクサンダーJ.][McNiel,Alexander J.]
英国エジンバラにあるヘリオット・ワット大学保険数学・統計学科の教授である
フライ,リュディガー[フライ,リュディガー][Frey,R¨udiger]
ドイツ・ライプツィヒ大学におけるファイナンス数学の教授である
エンブレヒツ,ポール[エンブレヒツ,ポール][Embrechts,Paul]
スイス工科大学チューリッヒ校における保険数学の教授である
塚原英敦[ツカハラヒデアツ]
1996年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校大学院博士課程修了・Ph.D.(統計学)。現在、成城大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。