出版社内容情報
脳の働きと美学的経験(美醜,感動,崇高など)との関係や,脳機能と芸術的活動との関係を研究する新しい学問「神経美学」の入門書。
目次
神経美学とは
視る美と聴く美
視えない美
うつろう美の価値
知識の監獄
変わらない価値はあるか?
快感と美観
ネガティブと美
醜さの力
創造性の源泉を脳にさがす
認知の枠組みと美
美の認知神経科学
著者等紹介
石津智大[イシズトモヒロ]
2009年慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻博士課程単位取得退学。現在、ロンドン大学ユニバーシティ校シニアリサーチフェロー。博士(心理学)。専門は神経美学、認知神経科学、実験心理学
渡辺茂[ワタナベシゲル]
1975年慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学名誉教授。文学博士。専門は実験心理学、神経科学、比較認知科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおた
18
これはすごくいい本。美を感じる脳の場所はみんな同じ、だけど視覚とか聴覚など種類によって反応する場所がちがうとか。美の受容について一度は考えてみたい https://note.com/uporeke/n/n9ff4dd4753462020/11/27
ATS
16
美を感じるときに脳がどのような反応をするかをfMRIなどの機器を用いて研究したデータを紹介。美を感じるときには内側眼窩前頭皮質が共通して反応を示しており報酬系も関与している。文脈効果で美を価値は移ろうが専門家になるとその移ろいが減少する(専門バカになって頑固になるのと関係しているのかな)。先天的な生物学的美と後天的な高次の美がある可能性があるようで赤ちゃんでも美しい人を注視する傾向があるよう。プレゼン資料でも美しいものが好まれるが美=快刺激=好意という脳科学的な裏付けもあるということか。2023/12/10
Thinking_sketch_book
13
★★★★☆ とても面白い本です fMRIを使って脳がどこで美を感じるかを調査し、そこから美に対する疑問について考察をしています 個人的に面白かったのは数学的な美も絵画の美も脳に共通して反応する部位がある事と第三者の意見で絵の評価が変わる際もその部位は反応する事でした 美への反応はなんて不確かなのだろうと思いましたが、 その後、生まれながらに感じる美と後天的に感じるようになる美、普遍的な美、巨大な美術作品についても触れられていてストーリー展開の上手さを感じました。2022/06/23
センケイ (線形)
12
一番印象に残ったのは、目で見る美と、所作や数学的な美で、同じ神経が刺激されるという点だ。エンジニアとしての自分の努力もまた、人の美的感覚を刺激しているのだと推論できるので、自分も美にコメットメントがあるのだなと思い嬉しくなった。個人的に求めていた、作品の映像美の効果、あるいはそうしたコーディングの美の効果への回答は部分的だったが、あとがきの仮説が示唆に富んでいた。ディラックやワイルの物理学の発見は、美しさを優先することによって生み出されてきていたのだと。2022/03/20
mochi
11
心理学者が脳科学の観点から美について考察した研究の本。脳科学の専門用語が難しく、頭に入らなかったが、美しさは赤ちゃんでも分かるとか、美は世界共通ではないが醜さは同じように醜く感じるといったことは面白い。あと、楽器を譜面通り演奏するのと即興演奏するのでも脳の活動が変わる。クリエイティブと脳科学の関係、まだまだ発展途上なので楽しみにしている。2021/05/10