出版社内容情報
ダーウィンにもわからなかった,海洋生物の多様な性の謎に迫る!
新シリーズ第1弾!
海のない奈良県育ちの著者が,大学の臨海実習で「海の生物ってなぜこんなに多様なのだろう!」と感動したことをきっかけに,数学で生物の謎を解き明かす数理生物学の道へ。その後フジツボに出会い,海洋生物の生き方や性のあり方を追う研究者となった。
海の生き物には,環境に応じて雌雄が決まるもの,性転換をするもの,雌雄同体であるものなど,多様な性が存在する。なぜ,多様な性が進化したのか? なぜ,この生物はこんな生き方をしているのか? なぜ,繁殖集団の中で雌と雄の数が違ったりするのか? 本書では「残せる子どもの数を最も多くする生き方が選ばれてきた」という適応の考え方をもとに,生物現象の「なぜ」を,数理モデルを使って解明していく。『種の起源』発表前にフジツボ研究に没頭していたチャールズ・ダーウィンですら明確な答えを出せなかった,海洋生物の性の不思議に迫る。
幼いころからたくさんの生き物を追いかけてきた著者が海の生き物に魅せられたいきさつ,フジツボ飼育の様子,水族館での調査についても触れられ,著者と一緒にワクワクできる臨場感たっぷりの1冊。
1 海洋生物の多様な性
1.1 常識はずれの性の世界へ
1.2 性のミステリーを数学で解き明かす
2 海洋生物の最適な生き方を探る
2.1 魅惑の生物に出会う
2.2 フジツボの多様な性
2.3 フジツボの生活史
2.4 最適な生き方をモデル化する
2.5 最適値を求めるには
2.6 モデルの結果を読み解く―最適な生き方をとる意味
3 生物における性の配分問題を扱う
3.1 なぜ雄と雌の数は1対1なのか
3.2 同時的雌雄同体における資源投資の悩み
3.3 精子を食べられると精子が増える?
3.4 性の配分がもたらすさまざまな現象
4 誰がどんなときに性を変えるのか
4.1 性転換する生物とその方向
4.2 どんなときに性を変えるのが有利なのか
4.3 フグの仲間の性転換の謎
4.4 中間サイズ性転換をモデル化する
4.5 雌の縄張りの質をどう評価するか
4.6 どんなときに中間サイズの雌が性転換するか
4.7 中間サイズ性転換モデルから見えてくること
5 生物の性決定と性的二型の進化
5.1 遺伝性決定と環境性決定
5.2 甲殻類の寄生者「フクロムシ」
5.3 フクロムシの繁殖システムと幼生の性的二型
5.4 それぞれの性決定方式における幼生サイズの進化
5.5 遺伝性決定と環境性決定,どちらが進化するか
5.6 フクロムシ研究から見えてくること
6 海洋生物における雌雄性の進化ゲーム
6.1 雌雄の体の大きさの不思議
6.2 矮雄がなぜ進化できたのか
6.3 雌雄をめぐる進化ゲーム
6.4 矮雄と雌雄同体が共存するには
6.5 生活史の選択に制約がある場合
7 性の可塑性と性システムの進化
7.1 性の可塑性とは何か
7.2 フジツボにおける連続的な性
7.3 肩乗り処理実験による性の可塑性検証
7.4 沖縄美ら海水族館でのフジツボ調査
7.5 ハコエビに付着するヒメエボシの生活史と宿主上での分布
7.6 ヒメエボシの可塑的な性?
7.7 性の可塑性と矮雄の進化のシナリオ
7.8 資源配分モデルから考えた性と性システム
目次
1 海洋生物の多様な性
2 海洋生物の最適な生き方を探る
3 生物における性の配分問題を扱う
4 誰がどんなときに性を変えるのか
5 生物の性決定と性的二型の進化
6 海洋生物における雌雄性の進化ゲーム
7 性の可塑性と性システムの進化
著者等紹介
山口幸[ヤマグチサチ]
2009年奈良女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。現在、神奈川大学工学部情報システム創成学科特別助手、博士(理学)。専門は数理生物学
巌佐庸[イワサヨウ]
1980年京都大学大学院理学研究科博士課程修了。現在、九州大学大学院理学研究院生物科学部門教授、理学博士。専門は数理生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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