内容説明
今日の主な倫理問題について考え、人と意見を交わそうと思えば、磨き上げられた一個の理論ではなく、2500年にわたる道徳哲学の豊かで多様な研究を利用せざるをえない。正義とは何か、価値とは何か。現実社会を読み解くための概念の道具箱。
目次
第1章 倫理の根拠(美学;行為者性 ほか)
第2章 倫理学の枠組み(帰結主義;契約主義 ほか)
第3章 倫理学の主要概念(絶対的と相対的;行為とルール ほか)
第4章 評価・判断・批判(疎外;ほんもの ほか)
第5章 倫理学の限界(アクラシア;没道徳主義 ほか)
著者等紹介
長滝祥司[ナガタキショウジ]
中京大学教授・博士(文学)
廣瀬覚[ヒロセサトル]
仙台市医師会附属高等看護学院非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヨミナガラ
12
“道徳的行為者とは、道徳的責任を担い〔…〕道徳的理由から行為の善し悪しを判断されるものを言う”“これに対して、道徳的主体とは〔…〕道徳的行為者がその利害について考慮する責任を負うものである”“菜食主義者だったときのベンジャミン・フランクリンは、人間以外の動物を殺さないことが、道徳的行為者である自分の責務だと思っていた。彼らを道徳的主体と見なしていたわけである。では、魚について考えを改めたのはなぜだろうか?”(共食いを見て)“「魚は道徳的行為者ではないので、道徳的主体として扱う必要はない」と考えたのだろう”2014/06/16
shin_ash
3
マルクス・ガブリエルの三部作を読んだ程度だが、哲学には多少抵抗が薄れてきた。そこで以前からなんだかよく分からないものであった倫理学についてかじることにした。とは言え、いきなり専門書はキケンな気がしたので、解説書的な本と思っていて本書を見つけた。当たり前かも知れないが倫理とはこうだの様な解説にはならず、むしろ真逆で個々に個別で全力で考えねばならない対象の様だ。ただそれでも雑にザックリ言うなら道徳について考える分野であることは理解できた。哲学の一分野なのだろうが、哲学以上に「考える体力」を要求する分野である。2025/10/13
アン
3
良い本だけれど姉妹書「哲学の道具箱」を読んだ時ほどの感激はなかった.倫理学という学問の性質ゆえかもしれないし,元々ある程度知っている内容だからというのもあるかもしれない.翻訳が回りくどくてよく分からない箇所が何点かあったり,そこまで説明するならもう少しだけ深く掘り下げてくれてもいいのに,と思うところがあったりしたせいもあるかな.2017/01/25
wanted-wombat
2
倫理学を考える上での良著。現代社会に即して様々な倫理的問題が提起されているので理解をしやすい。キーワード集としても使えそう。2013/05/06