内容説明
「一人ひとりの子どもの学びや成長を促すための教師の学びや成長を支える研修システム」として授業研究をあらためてとらえ直し、その活動を充実、発展させるための条件や課題、あるべき方向性などについて具体的に検討。学術的な専門性を背景に持ちつつ、学校外部からの助言者という立場で授業研究に関わってきた経験を踏まえて、授業研究のあり方について論じている。
目次
第1部 授業研究を問う(授業研究を創るために;授業研究の主体は誰か―当事者が主体となる授業研究の実現のために;教師は授業研究をどう経験するのか)
第2部 授業研究に臨む(実践経験者から生み出される授業記録と意味解釈;教師と研究者の対話に基づく校内研修の充実;子どもの思考と人間形成に視座をおく徹底した授業分析の視点から学ぶ)
第3部 授業研究に期待する(子どもの生き方の連続的発展―「子どもの学び」の観点から;個性的存在として今この時を生きていることを語り合う―「教師の学び」の観点から;「授業研究」の質的転換―「学校の学び」の観点から)
第4部 授業研究を展望する(日本の授業研究の独自性とこれから)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぺろりん
1
編著者のスタンスは「子どもの姿を語る」ことを中心とする授業研究を推進することだが、そのような研究スタイルが意味をもつ授業づくりが実際に行われているかという問題がある。ある程度、教室に子どもの自由な動きや発言が許容される雰囲気がなければ、参観者が語るべき「子どもの姿」が表れない。おそらく、こうした授業観の転換は、研究者が継続的に関わっている学校であっても、研究者が入る前に何らかの形で始まっている可能性が高い。研究者が意識して聞き出さない限り知り得ない「きっかけ」があるものなのだ。2022/07/04
U-Tchallenge
1
「授業研究」(研究授業)についての論考を概観できる一冊となっている。「なぜ、授業研究をするのか」「授業研究の有効な取り組み方」「授業記録の取り方」「助言者として授業研究に参加する時の留意点」等々、誰にとっても学ぶことの多い内容となっている。そして、「授業研究は授業者よりも参観者の力量が問われている」ということ。授業者に視線が注がれがちであるが、授業者を見つめる参観者がどのように授業を見るかという方が重要である。なぜなら、その見え方次第で授業研究の成否が変わるからである。かなりおすすめの一冊である。2020/12/13
松村 英治
0
秋田先生が学びの共同体を客観的にレビューする部分に、秋田先生らしさを感じて、嬉しくなった。共著者の中には、現場の教師に寄り添っている感じがする人とそうでない人がいる気がして、その場その場での判断が迫られる難しさを面白さとして書いてくれていないように思えるところもあった。2018/01/08