出版社内容情報
「学校評価」への取り組みが全国の学校・行政の現場で急速に進められており,「学校評価ブーム」とも言える様相を呈している。
しかし,取り組みが急がれる中で,趣旨について誤解があったり,いたずらな数値化など形骸化が危惧される状況があったり,運用面での様々な問題などから行き詰まったりしているところも少なくないようだ。
本書は,学校評価研究の第一人者で,学校評価の導入・実施を先導してきた著者が,取り組みの進む中で様々な課題が生じていることを踏まえ,学校評価の意義をあらためて明らかにするとともに,運用上の疑問点や問題点の克服について先導的事例を参照しながら解説し,真に実効ある学校評価の実現に向けた提言をするものである。
● 詳細目次 ●
序章 学校評価はどんな未来を拓くのか
今度こそ長続きする学校評価を/なぜ学校評価が問題とされてきたのか/日本の学校のあり方の見直し
【Ⅰ 学校評価の基本問題】
1章 学校経営制度改革の進展…なぜ学校評価が必要なのか
学校が疑われている――信頼される学校づくり/学校の正統性の揺らぎ/公立学校の魅力恢復/学校組織開発に向けて/学校組織マネジメントの導入へ
2章 プロセスとしての学校評価システム
マネジメント・サイクルに位置づく学校評価/学校評価を組織開発のツールに/ファシリテーターの育成に向けて/ミッション・マネジメントの展開
【Ⅱ 組織マネジメントによる学校評価】
3章 新しい学校評価を創る…学校を組織にしていくために
見かけを取り繕うことなかれ/できる時に,忘れないうちに行おう/焦点をしぼって評価しよう/問題に向き合う耐力と自己効力感を/目指す姿を明確にし,達成感を得よう/協議を重視し,会議のあり方を見直そう/目的と手段の関係を明確に/成果とは何か?
4章 学校の自己点検・評価の限界とその克服
学校が自らを点検・評価することの意味/自己評価の限界/自己評価の限界を克服する批判的友人関係/批判的友人関係による評価(同僚評価)の障害/精神的なゆとりを恢復するために/学校の自己点検・評価に向かう構え
5章 学校の外部評価とそのねじれ
学校にとって外部評価とは何か/学校評価の主体構造/東京都品川区における「新しい学校評価」の概要/学校外部評価者の憂鬱/学校外部評価における教育専門家の役割と期待
6章 学校経営のビジョンづくり
学校経営にビジョンはあるか?/学校のミッションは何か?/特色ある学校づくりと診断的評価/受益者の声を聴く「顧客満足」という視点/学校経営のビジョンづくりの実際
7章 学校の組織設計と活動の構造化
学校経営ビジョンはどんな組織を伴うのか?/学校の組織特性と組織設計上の課題/マトリックス組織としての学校の弱み/学校の組織設計におけるシートの活用
8章 学校評価のプロセス設計と形成的評価
攻めの学校経営と学校評価/戦略的な学校経営計画/高感度から好感度の学校づくりへ
【Ⅲ 学校組織開発の展開】
9章 プラス思考と戦略的リーダーシップ…[共]
プラスをもっとプラスに――南国市の教育方針/人々を巻き込む要/「地産地消」の学校給食と食育/小規模特認校の実践/テーマ型コミュニティの構築に向けて/組織マネジメントをいかに使えるか――SWOT分析の場合
10章 大胆な方針と試行錯誤戦略…[創]
愛知県高浜市の挑戦/住民協働の街づくり/オンリーワンの教育行政/特色ある学校づくりと学校評価/翼小学校における学校評価
11章 先見性とねばり強さ…[考]
すごい学校がある/結城中学校における学校評価の進められ方/なぜ結城中学校の実践が展開したのか/結城中学校のネットワーキング
12章 最後は責任をとる,その姿勢が人々を動かす…[開]
感性の経営/鳥取県岩見町立岩見南小学校/保護者による学校教育診断の実施/学校教育診断の内容と発信/オープンマインドな学校づくり
結章 学校評価へのまなざしとわたしの彷徨い
はじめに――驚きととまどい/なぜ,学校評価を問うのか/学校評価の歴史を辿ってみると/学校と学級,校長と教員の間/公教育経営の実際に関わって/おわりに
内容説明
本書は、「学校組織開発」の内容に踏み込み、いかにすれば学校評価をツールとして学校が「組織」に成っていくのかの道筋を描いたものである。
目次
学校評価はどんな未来を拓くのか
1 学校評価の基本問題(学校経営制度改革の進展―なぜ学校評価が必要なのか;プロセスとしての学校評価システム)
2 組織マネジメントによる学校評価(新しい学校評価を創る―学校を組織にしていくために;学校の自己点検・評価の限界とその克服;学校の外部評価とそのねじれ;学校経営のビジョンづくり;学校の組織設計と活動の構造化;学校評価のプロセス設計と形成的評価)
3 学校組織開発の展開(プラス思考と戦略的リーダーシップ(共)
大胆な方針と試行錯誤戦略(創)
先見性とねばり強さ(考)
最後は責任をとる、その姿勢が人々を動かす(開)
学校評価へのまなざしと私の彷徨い)
著者等紹介
木岡一明[キオカカズアキ]
1956年生。筑波大学大学院博士課程教育学研究科満期退学。摂南大学国際言語文化学部助教授、前職国立教育研究所教育経営研究部教職研究室長を経て、現在、国立教育政策研究所高等教育研究部総括研究官。文部科学省マネジメント研修カリキュラム等開発会議協力者。東京学芸大学客員教授。日本教育経営学会理事、日本教育制度学会理事、日本教育行政学会理事。東京都品川区の外部評価者をはじめ、鳥取県、埼玉県や静岡県などで学校評価のアドバイザー等を務める
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