感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
非日常口
7
慶応3年に露伴、漱石、鴎外など有名どころが生まれた。江戸崩壊直前に生まれ、明治の始まりと共に徴兵の名の元士族は仕事を失うリミナルな時代。露伴自身その後に電信技士の学校に入り手に職を付ける時期があったらしい。儒教と仏教を学び、キリスト教にも触れたことも本作に影響があるのかもしれない。研究書は読んだことはないが、日本の尖塔とも言うべき五重塔を舞台に口下手で肩書はないが腕は良い職人というのは露伴もさることながら没落した士族らが重なる。本作で十兵衛が自身の名を残す仕事をやったことは彼らの励みになったのではないか。2013/06/13
金木犀
1
五重の塔 黙読では理解できない文語体 理想派浪漫派の露伴の理想や主張は解説読んで理解 近代化の負の面 量産体制 自分の仕事に責任を持って心をこめて製品を作る職人の倫理は?2014/07/29
baアタマ
1
1891年(明治24)。幸田露伴24才の作だが完成度に驚く。のっそりと陰口をたたかれる十兵衛も義侠心あふれる源太もその女房お吉も主要人物に真心がありながら五重搭をめぐりいさかいが起こる。それを乗り越え十兵衛が一心に建てる五重搭に露伴の理想が重なる。当時はこんなキップのいい日本人がいたわけね。露伴は漱石や鴎外と同年に生まれた知識人であったがこの作品は躊躇う近代知識人の漱石、鴎外の作品よりさっぱりした骨太な人間が描かれ好み。 2013/03/31
yun0131
1
文語体で書かれやや難解な部分もあるが、声に出してよむとリズムがうまれ頭にすっと入ってきた。不思議な感覚。2010/01/30
天麩羅
0
勢いのある文語体と仏教的な言葉が入り混じる露伴さん。音楽のように連ねる言葉が興味深く、イメージに容易い。感情が爆発している者たちが多くあるが、知っている者たちばかりだ。2023/01/20




