出版社内容情報
かつて,フランスの数学者デカルトが,その存在を認めず「想像上の数」とよんだ奇妙な数,それが「虚数」です。プラスの数もマイナスの数も,2乗する(2回かける)と必ずプラスになるはずです。ところが虚数は「2乗するとマイナスになる」のです。存在が認められるまでに長い時間がかかった虚数も,現代では高校でも学ばれる重要な概念です。
虚数と実数を足しあわせた「複素数」は,数学だけでなく,自然界を解き明かす物理学でも重要な役割を果たしています。また,複素数を拡張した「四元数」は,今やCGや3Dゲーム開発には欠かせません。
本書は,虚数についてくわしく解説するとともに,虚数にいたるまでの人類と数の歴史も紹介しています。虚数の不思議な世界を,ぜひお楽しみください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字の旅遊人
29
高校時代、複素平面は履修内容に入っていなかった。その頃習った一次変換とか行列だってまともに理解してなかったと思うので、複素平面とか虚数を習っていたら……なんてことは無い。というのは分かっているけれど、今読んでもやはりイメージからして虚なんだよなあ。数学は宗教と並ぶ、人類の空想が産んだ世界的物語だと思っているのだけど、虚数や複素数はまさしくそれだと考える。この間『宇宙と物資の起源』で出てきた話ともリンクするのだから、この物語の壮大さはたまらんね。それが感じられるだけでも読んだ意味はあったかな。2025/02/11