内容説明
すべてを取り去った空間にも見えない何かが存在する無と存在をめぐる驚きの世界。
目次
1 数の「無」ゼロの世界(「ゼロ」は長い間「数」ではなかった;偉人でさえゼロは理解できなかった;ゼロはとても便利な記号だった;ゼロを使いこなすことのむずかしさ;数としてのゼロはインドで発見された;筆算が数としてのゼロを産んだ?;「0」をかけると「0」になる不思議;「0」で割ってはいけません;悩ましい「無限」の分割とゼロの関係;無限のパラドックスを解決する考え方;無限とゼロは親戚のようなもの;「全体」と「部分」なのに大きさが同じ?;微積分を考えだした天才数学者;微積分は文明の発展に貢献した;大きさゼロの点が集まって線ができる?)
2 自然界にあらわれる「ゼロ」(「絶対0度」で物質の動きはどうなる?;電気抵抗がゼロになる「超伝導現象」;超伝導を利用したリニアモーターカー;「超流動現象」は常識外の不思議な現象;使ってわかる0の大切な役割;光の粒子は質量がぜ0なのに落下する;質量ゼロの光が電子をはじき飛ばす;大きさゼロの天体「ブラックホール」;ブラックホール付近では速度がゼロにみえる;ブラックホールに向かう探査機の行方)
3 空間の「無」真空の不思議(「真空」は実在するのか?;無の空間を満たす「エーテル」は否定された;真空の存在は実験で証明された;最新技術がつくる10兆分の1気圧;目の前の空気にも真空は存在する?;原子の中もほぼからっぽの“無”;すべてを通り抜ける“幽霊物質”;物質のない宇宙空間でも、そこは光に満ちている;真空の宇宙に大量にある、正体不明の見えない物質;真空とはほんとうに何もない空間なのか?;真空といえども完全な「無」ではない!;陽子の中は“過密な真空”!?;真空には「場」が満ちている!;真空中の2枚の金属板が勝手に近づいた!;身近で実感できる0の大切さ)
4 宇宙を生んだ「究極の無」(宇宙誕生の謎を解く「究極の無」;宇宙は永久不変ではない;時間をさかのぼると、宇宙は「点」に近づく;宇宙そのものが、生まれては消えていた?;無から宇宙が生まれるしくみ;大きさゼロの宇宙の卵が急成長;宇宙のはじまりは、特別な場所か?;「究極の無」を考えない宇宙誕生のシナリオ)
5 「存在する」とは何か(あなたの存在は「力」を通して確認できる;電子の存在はきわめてあいまい;電子の場所を決めるのは人間の「観測」;原子の中に雲のように広がる電子;光は粒子でもあり、波でもある;電子の波と軌道の不思議な関係;一つの電子が二つの隙間を通る?;電子の波は瞬時にちぢむ;観測されると世界全体が分岐する?宇宙は“ホログラム”でできた幻か?;仏教の「空の思想」と量子論の意外な共通点)