感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hyena_no_papa
2
40年ぶりに再読。最終章「瓦解」は以前もそうだったように、憤怒の涙なくしては読めない。現地人に対する収奪と暴虐を恣にした日本に対し「恨み骨髄に徹していた」「中国人の報復」は当然のことである。現実を無視した「K」ら一部少数の精神論者達の強硬な「満蒙開拓論」に引きづられた移民政策の破綻は、終戦直前のソ連軍侵攻で「阿鼻叫喚の修羅地獄」絵図を描き出すことになる。では当時、欧米列強の東亜侵略に対していかなる方途が我が国としてあったのか?問われれば何ら答えを返すことの出来ない我が身のやるせなさに心は沈むしかない。2021/01/26