感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イロハニ
15
同じ降る雪とはいえ江戸の風流のそれと峻別された世界。その年々の艱難の中に僅かな果報を齎すも善き人々に激甚な災禍を齎す事も稀でない。その凄惨な描写に胸が詰まる。維新の約三十年前の越後塩沢の郷土誌である原典は初編と二編の二部構成だが本書はその初編のみ現代訳した。雪害以外、特産品、鳥獣風物等も語る。かつての校訂者、山東京山も、この訳者、濱氏もこの原典は仮に真夏の炎暑下に繙くもその豪雪の臨場に冷気や恐れを感じたと異口同音に述べている。前者は江戸に降る雪との落差に後者は明晰な道理を尽くした論述に恐れを抱いたという。2023/01/20
FOTD
10
暑い夏の日に、冬の日の寒さを感じたくて読んだ。昔はこの本の「ワイド版岩波文庫」のものを読んだものだったが(忘れているところが多かった)、こちらは現代語バージョンなので大変読みやすい。雪国の興味深い話が書かれている。このような昔の記録や風習や民話などを知ることができて、とても良い時間を持った。数年前に行ったのだが、機会あればまた鈴木牧之記念館を訪ねてみたい。2019/09/01